パーティクルカウンター資料集
気中浮遊粒子のモニタリング:ISO21501-4校正のインパクト

著者:Joe Gecsey(ジョー・ゲッツィ)
Beckman coulter社 - オレゴン州グランツパス

概要

クリーンルームや無菌区域内で行う気中浮遊粒子のモニタリング(清浄度クラスの測定、及び様々な環境の空気中に浮遊する粒径及び個数カウント)で、信頼性、一貫性、そして再現性のある結果を得られるかどうかは、オペレーターのサンプリングテクニックの巧拙とパーティクルカウンター性能の両方に依存します。パーティクルカウンターの性能については年1回ないし2回の校正によって見直されて確認されるのが一般的なのに対し、サンプリングテクニックは、たびたび各社 固有のSOP(Standard Operating Procedure-標準作業手順)の課題となります。 パーティクルカウンターの測定結果で再現性が得られない場合の多くは、不十分な校正手順及びメンテナンスの結果です。このばらつきは、ISO21501-4規格の校正内容を遂行することにより最小限にすることが可能です。それがたとえ校正プロセスに更なる時間とコストを費やすことになるとしても、結果的には繰り返し精度の著しい向上が製品寿命を通じて見られ、かつそうした向上はカウンター間誤差の少なさにも表れるでしょう。

はじめに

気中浮遊粒子のモニタリングのための国際規格は、クリーンルームもしくは無菌製造区域を持つすべての業種で採用されています。そうして管理された環境には、製造されている製品の品質、又は管理された厳しい環境下で実施されている製造プロセスを確実なものにするために、測定粒子のサンプリング方法に対して幾つか手順となるものが必要です。多くの変動原因は、このようなエリアでのオペレーションの成功に影響を及ぼします。気中における粒子状物質のレベルは、管理されたオペレーションに対し、失敗のリスク(又は逆に、成功の可能性)をコントロールすることに対して多くの場合で重要な要素となるのです。

“ISO 21501-4 の役割は、パーティクルカウンターの校正手順及び検証方法を提供することであり、それは複数のカウンター間で測定結果に相違が見られたり、一つのカウンターで測定結果に不正確さが見られたりするのを最小限にするためである。”

解釈:
ISO 21501-4のメソッドを使用することにより得られること:
 1. 製品寿命を通じての繰り返し精度の向上
 2. 異なるカウンター間であっても結果がより一致するようになる
逆に、考えられる追加コストは以下の通り:
 1. テストが増える=技術者(作業者/オペレーター)の拘束時間も増える
テスト項目が増える=追加されるテスト用の機器が必要になる

クリーンルーム及び無菌区域のクラス分類のための初期の規格として知られる米国発祥の“Federal Standard 209E”は、長年に渡り世界的にインパクトを持っていましたが、1999年に新たなグローバルスタンダードであるISO14644-1へと正式に置き換えられました。

ISO 14644-1 及びISO 14644-2 の改訂(TC209 Working Group 1)

過去数年余り、TC209 Working Group1(WG1)として知られる国際委員会がISO14644の最初の二つのセクションに対する改訂の必要性の有無について審査しています。大半の委員から提案された改正案に対して、実施された初期の総合投票は、2011年5月2日に締め切られましたが、各改訂項目の施行日は6ヵ月後、又は早くても2011年11月になる可能性があります。

ISO14644-1 の2011 年の改訂でSection2に対し提案された文言

2 引用規格
以下の引用はISO14644の内、ISO14644-1を構成する規定を含んでいる。これに対する後続の修正、又は改訂は適用外である。しかしながら、ISO14644-1を元に合意した団体は、以下に示された引用規格の最新版を適用する可能性を探ることを勧められている。

ISO 21501-4:2007, Determination of particle size distribution - Single particle light interaction methods - Part 4: Light scattering airborne particle counter for clean spaces

ISO 14644-1の改正案で鍵となる変更の一つは、クリーンルームのクラス分類のために使用される機器に対する校正基準への引用規格です。これ以前に、ISO14644-1の中で校正手順について言及されることはありませんでした。

しかし、校正テクニック又は手順のばらつきが、パーティクルカウンターのパフォーマンスや異なるカウンター間での繰り返し精度に重大な影響を持つことはよく知られています。

極限の追求

複数のパーティクルカウンターを所有する顧客にとって、一つの共通した望みは、それぞれのカウンターが同じ場所でサンプル測定した際に同じ結果をもたらすことです。これは、同じエアロゾルが一斉に又はすべて均一に連続して二つの粒子計測器によってサンプル採取されることが不可能なことを考えれば非現実的な希望です。室内又はエリア内の粒子レベルは、ほんの少しの可変要因を挙げるだけでも、時間の経過、作業内容、人数、スピード(歩行速度までも)、室温の勾配や気流速度の変化などによりかなり変わってしまいます。活動的な場所での気中浮遊粒子の計測は、一般道路、又は高速道路上を走る車を数えることとの比較とも言えます。各サンプルは採取された時点では比較的有効であるかも知れませんが、夜中にカウントされた数は通勤時間のピーク時のものと比較して明らかに異なる可能性があります。使用されている計測機器の繰り返し精度に対する懸念事項に加え、気中浮遊粒子レベルを定義するための努力はそれ以上にチャレンジングなことなのです!!!

ISO 21501-4 を通して行う機器間におけるばらつきの管理

気中パーティクル濃度の変動性は、無菌領域内でのプロセスや活動の管理と合わせてクリーンルームをデザインする際の一つの課題ですが、一方で測定する機器の変動性というと、校正、適切な使用、そしてメンテナスに起因します。ISO 21501-4は機器の潜在的なばらつき管理を行うための徹底したプラットフォームを提示します。多くの場合、メーカーに従って数年に渡り行われる機器校正は、様々な形態を取ります。NIST、NADAK、BSI、DIN、JISなどの組織による国家規格のトレーサビリティが一部だけ、もしくは全く取れていないような、独立の又は無資格の業者によって行われた”校正”について上げている話は数多くあります。

校正方法も其々の機器メーカーにより異なります。現場での業務経験から資格を取得した技術者により行われた校正のほとんどは、3つ又は4つ程度のテストから成ることがほとんどです。校正がISO 21501-4に従って行われた場合、通常は最低でも8つの異なるテストが実施されます。そのテストには、更に時間と設備が必要にはなりますが、ISO21501-4による校正が、現在行われているものと比較していくらか追加コストが発生するとしても、測定の繰り返し精度にその分の恩恵が顕著に見られるでしょう。

繰り返し精度は、一定の微粒子レベルに保たれた同じ環境を複数回測定した際、使用したカウンターによって得られた値の安定性について言及しています。再現性は、一定の微粒子レベルに保たれた同じ環境を複数回測定した際に、二台又はそれ以上のカウンターで同じ結果を得る能力について言及しています。

先述の通り、一定レベルの気中浮遊微粒子を現実世界の一つの環境から得ることは、ほぼ不可能で、一つのカウンターが連続的に取ったデータ、もしくは二つのカウンターで平行して取ったデータのいずれかのバリエーションは常に存在することになります。

ISO 21501-4が提供するものは、管理された状況下、及びコントロールされ一定に保たれたエアロゾルの中でのテストを立証することで、そこで使用されたカウンターが予測可能で一貫した測定値を提供することが可能になることです。このプロセスは、従って、“日常”から得られた測定値に自信を持たせるための基準(それに伴う変動性含め)を作り出すことです。それにより、測定時の汚染度レベルが本当の意味で反映されたものになるでしょう。

ISO 21501-4 パラメーター 限界許容値
校正サイズ ± 5%
最小粒径での計数効率 50% ± 20%
粒子サイズ1.5~2 × 最小粒径の計数効率 100% ± 10%
分解能(メーカー指定サイズ) ≤ 15%
ゼロカウントテスト ≤ 1個(5分間)
最大粒子個数濃度(メーカ指定) ≤ 10%
サンプリング吸引量(体積測定) ± 5%
サンプリング時間 ± 1%
校正間隔 ≤ 1年

関連記事

Gecsey, J. Airborne Particle Monitoring: Satisfying the Changing Demands in Regulations and Methods, Cleanrooms Magazine, September 2009, pages 14-18. Harrison, T., ISO 21501 - A Standard methodology to Optical Particle Counter Calibration and What it Means to Cleanroom Owners, The Cleanroom Monitor, August 2009, Issue 61, The Scottish Society for Contamination Control.

著者について

Joe Gecsey (ジョー・ゲッツィ) は、米国Beckman Coulter社のライフサイエンス部門のMETONEブランド気中パーティクル カウンターのプロダクトマネージャーとして勤務し、ライフサイエンス分野での粒子計測に関わるレギュレーションの定期的な改訂の確認もその責任範囲として行ってきました。また、彼はTC 209 Working Group (WG1)がISO14644-1と14644-2へ置き換えられる際の改訂版を完成させた2名のうちの1人で、これまでパーティクルカウンターのデザインやアプリケーションに関するセミナーを世界中で行っています。カリフォルニア大学で電子工学の学士を取得し、エンジニアそしてテクニカルアドバイザーとして1984年以来HACH社に勤務していましたが、現在は事業移管に伴い、Beckman Coulter社に勤務しています。

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