パーティクルカウンター資料集
油中パーティクルカウンターのサンプル調製 繰返し精度を維持するための最善の方法

はじめに

パーティクルカウンターを用いてサンプル測定を行う上で、不正確な結果をもたらす主要因として、不適切なサンプル調製があげられます。このことはサンプル分析機関などの分析業界では周知の事実ですが、一般の測定者にその重要性が考慮されない場合があります。不適切なサンプル調製により、時には清浄サンプルが汚染サンプルと判断され、逆に汚染度が高いサンプルを清浄サンプルと判断してしまうことがあります。

正確な計測を妨げる諸要因

サンプル容器の汚染

汚れた容器にサンプルを採取するとサンプルが即座に汚染されます。一回目の計測で清浄な容器を使用して も、次の計測で同じ容器を使用すると残留微粒子により正確な計測ができません。

不適切な攪拌

サンプル中の微粒子を均一に拡散するため、攪拌時間と技法(攪拌スピードや静置時間等)はサンプルの種類や汚染状態、量、によって変更されるべきです。

気泡の影響

攪拌が良好でも脱気が適当でないと、気泡がサンプル中に残留し計測結果に影響がでる恐れがあります。脱気は超音波洗浄機もしくは真空脱気装置を使用してください。

計測前の非静置

適切な攪拌や脱気の後、計測直前にサンプルを一定時間静置してください。これはサンプルの状態を安定させることに加え、サンプル中の気泡をさらに排出する作用があります。ただし、静置時間を長くし過ぎると比重の大きな微粒子が沈降するので留意が必要です。

スターラーの回転速度

スターラーの回転速度を上げる程、攪拌状態が良くなるとは言えず、回転速度が早過ぎると微粒子が容器の内壁面に集まり、均一分散が損なわれ、サンプル吸引流路の微粒子が少なくなり正確な計測ができなくなる恐れがあります。また、鉄分を含むサンプルはスターラーロッド(磁石にガラスまたはテフロン等でコーティングした もの)に吸着し、均一分散性が損なわれます。

作動油計測を行うための基本手順

A.清浄な蓋付の容器にサンプルを採取することが、重要なファーストステップです。

同一の容器を使用して次のサンプルを採取する場合は、容器を念入りに洗浄し、清浄であることを確認したものを使用するか、サンプル毎に新たな清浄な容器を使用してください。

B.超音波洗浄機に約1 分間かけ、凝集している微粒子を分散させてください。

超音波洗浄槽の水面は、サンプルの半分以上である必要があり、通常1分間かけるサンプルでも、粘度が高い場合は必要に応じてより長い時間かける必要があります。

C.約2分間ハンドシェイクしてください。

粘度の高いサンプルに関してはより長い時間のハンドシェイクが必要となります。メカニカルシェイカーを使用する場合は2分間でセットしてください。(ISO11171 Annex E, Section E4, 2010では1分間のメカニカルシェイカーを推奨しています。)

D.すばやく超音波洗浄機にかけてください。

超音波洗浄槽の水面はサンプルの半分以上である必要があり10~50cStの粘度では25~35秒、50cSt以上の粘度ではさらに長い時間かける必要があります。必ず目視で泡が抜けたことを確認してください。

E.サンプル容器を5~10秒間静置してサンプル中に可視気泡が無いことを確認し、すばやく計測を行ってください。

静置時間が長いと、大きな微粒子が沈降して均一拡散が損なわれます。当社のModel PODSやSystem 8011は一定圧力をサンプルにかけセンサー検知部に送る機構ですが、これはあくまでも送液のための圧力であり、気泡を除去するためのものではありません。

Model PODS(ポッズ)
System 8011

備考

スターラーロッドは基本的に50ミクロン以上の微粒子を含むサンプルや、容量の多いサンプルを攪拌させるために使用するものですが、必ず使用しなければならないというわけではありません。
スターラーロッドは微粒子の付着していない清浄なものを使用し、その回転数は遠心分離現象を避けるため低速度で回転させるべきですが、同時に微粒子を浮遊させるためある程度の回転を行う必要があります。
手順の変更を最小限に抑え、一定の方法で安定した計測を維持することは重要ですが、本報告は厳格に取り決められた実施方法についての詳細記述ではなく、計測する上で必要な項目を順序立てて記述したものです。

参考資料

ISO, (2010). ISO 11171:2010 Hydraulic fluid power -- Calibration of automatic particle counters for liquids. Geneva, Switzerland: ISO

著者経歴

Bill F. Bars is an Application Scientist for Beckman Coulter Life Sciences Company in Grants Pass, Oregon, USA. He has created and developed many of the Industrial Systems production processes and procedural tools for the Beckman Coulter / Hach Ultra Particle Counting Business Units products. These products include but are not limited to the: HIAC PODS, 8011, 8011+, 8012, HRLD Sensors, PM4000, ROC, and the Calibration Fluids Lab. He was a primary technical resource for the Hach Ultra Particle Counting ISO 17025 accreditation project which culminated in receiving their formal ISO 17025 Accreditation Certificate from A2LA. He received his Electronics Engineering degree from DeVry Institute of Technology in 1982. He has worked for the Beckman Coulter/Hach Ultra Companies for 17 years in a multitude of engineering capacities ranging from Metrology to Service Training and Industrial Application Support.

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