パーティクルカウンター資料集
光学式パーティクルカウンターにおける「Long Life Lasers(長寿命レーザー)」の検証

クリーンルームの空気清浄度規格は、1963年、米国連邦規格(FED-STD-209)として初めて制定されました。(ISO14644-1の制定に伴い2001年に廃止)
米国連邦規格では、0.5 μm 粒子の1立法フィート(1 ft3)中の粒子数を規定しており、「クラス100」とは、1 ft3中に0.5 μmの粒子が100個以内である事を意味します。

はじめに

光学式パーティクルカウンター(OPC)は、粒子の存在、サイズ、個数や濃度の測定に光の照度と吸光度を利用します。一般的に粒子は流動体もしくは気体中に浮遊もしくは懸濁されており、その中の一定量が検出システムにより照射、検出されます。この様なシステムの基本的なコンポーネントは、レーザー照射光源、検出される粒子があり、照射が指示されているビューボリューム、一つ以上のセンサー(一般的にはフォトディテクター)であり、ビューボリューム内の粒子が起こす光学的散乱を検出することができます。光学式パーティクル検出システムの光源は、一般的に半導体ダイオードレーザーであり、レーザー光源は安定的で、且つ長寿命でなければなりません。

多くのOPCメーカーがレーザーの長寿命を主張しているが、当社は実際にレーザー寿命試験、特許取得済みのレーザーの寿命と性能の両方を向上させた技術、パフォーマンスチェックための保証されたプロダクトフィールドデータについて検証しました。ベックマン・コールターの「Long Life Lasers™」は、現在すべてのMET ONEブランド3400シリーズのポータブルタイプ気中パーティクルカウンターに採用しています。また、MET ONEブランド4000、6000、7000シリーズの連続モニタリング用リモートタイプ気中パーティクルカウンター、そしてHIACブランド9703+の液中パーティクルカウンターにも同様に採用しています。

レーザー寿命(MTTF)

長寿命のレーザーと信頼できるパーティクルカウンターへの道のりは、正しいレーザーを選ぶことから始まります。特定のガリウムヒ化物(GaAs)レーザーは、最も成熟したレーザー技術を提供し、最も長い操作寿命時間を持ちます。
GaAsレーザーは、高性能と信頼性が最重要であるファイバーオプティック通信産業で広く使われています。同じ技術が830ナノメーター近辺のピーク波長をもつレーザーを搭載したMET ONE光学式パーティクルカウンターに使用されています。一般的にガリウムレーザーは、MTTF(平均故障時間)が100,000時間以上であると考えられています。1年を時間に直すと8,760時間(24時間×365日)であり、このことは、レーザーが11年以上連続運転できることになります。i

レーザーサプライヤーから提供されるレーザーのMTTFのスペックは非常に素晴らしい場合が多いですが、当社は単にレーザーサプライヤーから公表されたデータだけには頼らず、新製品導入前に社内テストを通してレーザー寿命を検証します。100,000時間のレーザーダイオードをテストすることは現実的ではないため、レーザー産業では別の加速寿命試験法が開発され、一般的に受け入れられています。その一つが高温での寿命試験法です。ほとんどのレーザーサプライヤーは、GaAsレーザーダイオードの寿命が8-10℃程度の温度上昇により発生するファクターにより半減することを明記しています。そのため、レーザー寿命の仕様を確認するために、当社のR&Dセンターで、50個のGaAsレーザーを使用して正確な寿命試験を行いました。試験条件は、78℃で5,320時間です。この試験は、レーザーサプライヤーの仕様において30℃の通常の動作温度の9.95年の平均寿命に相当します。

長寿命レーザーの設計

レーザー寿命と温度の関係が加速試験を可能にするのと同時に、それはレーザー温度をコントロールすることがレーザーの寿命を延ばすための明確な解決策であることを示しています。いくつかのレーザーサプライヤーは、サーモエレクトリッククーラー(TEC)を使用し、レーザー温度を低くコントロールします。しかしながら、TECは高い入力電力が必要なためバッテリー寿命を短くしたり、大きなバッテリーを必要とするためポータブルのパーティクルカウンターの重量が増えたりします。そのため、ほとんどのレーザーサプライヤーは、パッシブクーリングを採用し、レーザーオペレーションの出力を軽減しています(例:「パワー“軽減”」)。しかしながら、センサーの全体的な効率を改善しなければ、レーザーの定格出力を下げることは、粒子の検出感度に代価を払うことになります。

パッシブクーリングとレーザー出力軽減のアドバンテージを適切に利用するために、当社は粒子の散乱光を特定するためのOPCセンサーの能力を強化しました。特許を取得したバックグラウンド・ノイズ抑制法に加え検出、イルミネーションオプティックス、コレクションオプティックスの改善は全て全体的なセンサー効率の改善に繋がりました。
さらに、センサーの全体的なバックグラウンド・ノイズを減らすため当社が採用した、鍵となる技術の一つはレーザー変調です。レーザー変調の技術は、モード競合ノイズを減らすために、CDやDVD業界で一般的に用いられ ます。,, OPCでは、レーザー変調はモード競合ノイズを検出できないレベルにまで引き下げます。これはセンサーの全体的なバックグラウンド・ノイズを効果的に下げ、より少ない誤検出と、より良いゼロカウントをもたらしました。
変調されたレーザーは、50%のデューティー比で動いているので、レーザー寿命も改善しました。このように、レーザー変調はレーザー装置の寿命を改善するだけでなく、センサーの全体的なSN比の性能も向上させました。パーティクルカウンターにおけるレーザー変調の適用は、当社が特許権を得ており、MET ONEとHIACパーティクルカウンター製品ライン特有の技術です。

「LONG LIFE LASER™」のパフォーマンス

検証されたMTTF(平均故障寿命)を持つ正しいレーザー(優れた熱管理とレーザー変調の組み合わせ)は、全て当社によって「LONG LIFE LASER™」を製作するために組み合わされたものです。LONG LIFE LASER™導入後の3年経過の間に、既に数千台ものユニットを出荷しており、0.5%未満のユニットしかレーザー装置故障は有りませんでした。図1に示されたワイブルプロットは、全てのLONG LIFE LASER™を搭載した計器で起きたレーザー故障を示しています。また、LONG LIFE LASER™で競合するOPCメーカーが作成した故障データを示しました。

図 1: ワイブルプロットは、故障率(%)に対し当社のレーザーと長寿命レーザーとして競合する他メーカーにより 公表されたサービス月数を示します。

ワイブルプロットは、競合製品の10%が現場でのレーザー故障経験がある点を示し、0.5%未満の当社製品が故障したと予測されます。さらにこの比較を詳しく説明するため、表1では同じ12年間で6000台の気中パーティクルカウンターをサンプル数とした概算の現場故障数と率(%)のダイレクト比較を示します。

表1: 現場故障 VS サービス年数の比較

  トータル台数: 6000
修理年 レーザー故障予測台数
当社 競合他社
1 4 0.06% 93 1.55%
3 9 0.16% 480 8.01%
5 15 0.24% 999 16.64%
7 19 0.32% 1574 26.24%
9 24 0.40% 2162 36.03%
10 26 0.44% 2450 40.83%
12 30 0.51% 3000 50.00%

まとめ

MTTFパフォーマンス・データは、最も競合する他社製品に対し当社「LONG LIFE LASER™」がより優れたパフォーマンスを持つことを示しています。多くのOPCメーカーがレーザーの長寿命を主張するなかで、当社はレーザー寿命テスト(レーザーライフと器機性能の両方を向上させる特許を受けた技術)を検証し、パフォーマンスを証明するためにプロダクトフィールドデータを立証しました。「LONG LIFE LASER™」技術を使用している当社のMET ONEおよびHIACパーティクルカウンターは、より信頼性があり、この技術を持たない製品に比べ、維持コストをより低く保てます。

著者

Ken Girvin, Senior Optical Engineer, Photonics R&D Pingsheng Tang, PhD, Senior Scientist, Photonics R&D Terry Stange, PhD, Vice President, R&D Americas Matthew Smith, PhD, Life Sciences Vertical Marketing Manager

  1. Since the original testing and laser selection was completed, the Hach Ultra laser vendor now claims an MTTF of more than 1,000,000 hours.
  2. Joel C. Johnson, “Method and Apparatus for Suppressing Stray Light in Particle Detectors”, US Patent 6,414,754, July, 2002.
  3. Kenneth L. Girvin and Adam J. Reed, “Method and Apparatus for Operating a Laser in an Extinction- Type Optical Particle Detector”, US Patent 7,002,682, Feb., 2006.
  4. Akira Arimoto, et al., “Optimum Conditions for the High Frequency Noise Reduction Method in OpticalVideodisc Players,” published in Applied Optics, vol. 25, No. 9, May 1, 1986.
  5. Masahiro Ojima, et al., “Diode Laser Noise at Video Frequencies in Optical Videodisc Players”, published in Applied Optics, vol. 25, No. 9, May 1, 1986.
  6. K. Petermann, book entitled Laser Diode Modulation and Noise, Copyright 1988 by Kluwer Academic Publishers, Chapter 4, pp. 100 to 105.
  7. “Long Lasting Lasers: Factors that Influence Laser Life”, Particle Measuring Systems, Inc., 2006.

皆様からの、課題解決のためのご相談をお待ちしております。

お問合せ・お見積り