| インタビュー

【前編】エクソソーム研究の今と未来

3. エクソソームの利用価値:リキッドバイオプシー

落谷先生: エクソソームの内包物が放出元の細胞の特徴を映し出してくれることから、異常を来した細胞のエクソソームを調べることで、いち早くその異常を知ることができるはずです。この考え方に基づいて、体液中のエクソソームをリキッドバイオプシーとして利用し、疾患の早期診断や薬物治療効果の評価が可能になると期待されています。例えば、がん細胞は正常な細胞の遺伝子が傷つくことによって出現しますが、そのエクソソームの性質(特に内包物のmiRNAsのプロファイリング:signature)を各がん種についてそれぞれ調べることにより、がん種に特徴的なバイオマーカーの探索が進められています12-15)。このようにバイオマーカーに関する情報が明らかになることで、がんの早期診断だけではなく、あるがん種の中でも、そのサブタイプまで手術前に知り得るようになると考えられます。既に、血液中のmiRNAプロファイリングにより、卵巣がん患者と健常人の区別、早期卵巣がんと良性腫瘍の鑑別、ならびに卵巣の上皮性がん4種類の鑑別が可能であることがわかりました14)

エクソソームをリキッドバイオプシーとして用いる利点は、ある程度がんが進行しないと増えない血中の循環腫瘍細胞(CTC)やセルフリーDNAに含まれる循環腫瘍DNAに比べ早期診断が可能であること、また、従来の組織生検に比べ低侵襲で患者負担が軽減できることです。さらに、バイオプシーの対象となる生体試料がすべての体液(血液、尿、唾液、鼻汁、涙液、胆汁液、精液など)に広がるため16)、がんの他にも各種疾患について特異的な早期診断法の実現化にも期待が寄せられています。

参考文献
12)Taylor DD et al. Gynecol Oncol. 2008; 110(1): 13-21
13)Ogata-Kawata H et al. PLoS One. 2014; 9(4): e92921
14)Yokoi A et al. Oncotarget 2017; 8(52): 89811-89823
15)Yoshioka Y et al. Jpn J Clin Oncol. 2018; 48(10): 869-876

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