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培養上清からのエクソソーム回収と
タンパク質およびmiRNA抽出方法の基礎

培養上清からのエクソソーム回収とタンパク質およびmiRNA抽出方法の基礎

2. 培養上清からのエクソソームの分取方法について

培養上清から超遠心法を用いてエクソソームを分取しています。培養上清からエクソソームを分取し、内包物を解析するときに、やはり重要なのが取れてくるエクソソーム量です。純度も重要ですが、量が取れてしまえば解析は行えます。培養上清中のエクソソーム含量は少ないですので、大量に取れて濃縮もできる超遠心法を選択しています。

Fig.3に超遠心法でのプロトコールを示しています。エクソソームの回収は、タンパク質解析でもmiRNA解析でも同じ方法を用います。培養上清を2,000 ×gにて粗遠心を行い、その上清を0.22 μmフィルターで処理します。そのろ液をフロア型超遠心機Optimaとスウィングロータ SW 41 Ti(6本×13.2 mL)を用いて、4℃で100,000 ×gにて70分遠心を行います。次に、上清を捨てます。このときペレットは見えません。ペレットにフィルターろ過したPBS(-)[PBS溶液からマグネシウムMg2+とカルシウムCa2+を除いたもの]を加えて懸濁した後、チューブの上端までメスアップします。再度、同条件で超遠心処理し、得られたペレットがインタクトなエクソソーム画分となります。

Fig.3:超遠心法によるエクソソーム分取およびタンパク質・miRNA抽出の概要

培養上清ですのでエクソソーム濃度が薄いです。血清などに比べて極端に少ないので、大量の培養上清が必要となります。スウィングロータ SW 41 Tiは6本がけですので、コントロール3本(3本×13.2 mL = 39.6 mL)、サンプル3本( 39.6 mL)を処理しており、そのうち1本ずつをナノトラッキング法で品質確認と粒子数の計測に使用し、残りをタンパク質解析やmiRNA解析に用います。必要量が足りない場合は、超遠心機を2台用いて、N数を増やします。ナノトラッキング法を用いた品質確認では、108個の後半くらいの粒子数があれば確からしいとしています。また、画像を見て、バラツキや、凝集体の有無を確認しています。凝集体が多いときは、粒子数も少ないので、そのサンプルは除くようにしています。このチェックをパスしたサンプルについて、タンパク質抽出またはmiRNA抽出を行います。

ここに示しましたスタンダードな超遠心法によるエクソソーム回収は方法を学ぶことですぐにできますが、エクソソーム回収のための細胞培養条件を最適化するのに実は結構な時間がかかり、実験の標準化が必要です。通常、FBSにはウシ由来エクソソームが含まれているのでFBSフリーで培養を行います。しかし、一般的ながん細胞を用いる場合は可能ですが、Srcを発現させている線維芽細胞などの血清依存性が高い細胞では、FBSを抜くことができません。このため、自分たちでエクソソームを除いたExosome-Depleted FBS(ED-FBS)を用いて培養しますが、できるだけ少ない方が良いので、培地中のED-FBS含有量をどこまで下げても表現型(フェノタイプ)が安定しているかをチェックする必要があります。また、ED-FBS含有量が何%のときにウシ由来エクソソームの持ち込みがどのくらいあるのかをチェックしており、問題ないレベルであることを確認して実験に使用しています。さらに念のため、コントロールについてはFBS由来エクソソームの持込みを同条件にしています。

実験にはED-FBSの消費量が多いので、研究室で作製しています。スウィングロータ SW 32 Ti(6本×38.5 mL)を用いて、4℃で100,000 ×gにてOvernight遠心を行うことでエクソソームを除いています。

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