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密度勾配超遠心分離法を用いたエクソソームのサブクラス解析

4. 精製したエクソソームの取扱い方法

吸着

粗精製の段階では気になりませんが、精製度が増すにつれて、チューブやピペットチップへの吸着が極めて顕著になってきます。おそらく密度勾配遠心まで行って、最後の段階でエクソソームがどこかにいってしまったという人が多いのではないでしょうか。密度勾配をかけたあとの、純度の高いエクソソームは、超遠心で濃縮しようとすると、ほとんどがどこかにいってしまいます。つまり、チューブにベタベタとはりついて再懸濁できなくなってしまいます。粗精製の段階では、エクソソームと一緒に多量に混じっているいろいろな成分(血清タンパク質等)がチューブをコートすることで、エクソソームの吸着を防いでいるのだと思います。

このエクソソームの吸着性質は、精製度の高いエクソソームを扱っている研究者であれば、誰もが経験しているのではないでしょうか。超遠心のみならず、通常のピペッティング操作や、プラスチックチューブへの分注といったシンプルな操作だけでも、どんどんエクソソームが減っていき、研究者泣かせです。

このため、チューブやピペットチップは、準備段階としてテストを行い、最も結合しにくいものを使用しています。

また、遠心チューブはペレットを回収することを重視して透明性の高いUltra-Clear tubesを用いています。密度勾配遠心で得られたフラクションを洗浄する場合は、得られたペレットはスウィングロータですと一番底辺にあり、アングルロータですとその角度を考慮したポイントを意識して回収します。この際のピペット等への吸着は避けようがないので、このロスを考慮に入れて実験を計画する必要があります。このロスを避けるため、OptiPrep等の密度勾配媒体が次のステップに影響がない場合は、洗浄操作をせずに次の実験を行います。洗浄なしのサンプルを、NTAを用いて粒子測定をする際には、媒体の濃度に合わせた粘度の値を設定することを忘れてないでください。

保存

精製度の高いエクソソームはまた、凍結保存に極めてセンシティブです。粗精製の時には気になりませんが、密度勾配遠心で分けた後は、一度凍結してしまうと、粒子数が凍結前の数割に減ってしまい、これも研究者泣かせです。

私たちは、凍結しない「一番絞り」を最も大切な実験に使用しますが、その次は、小分けにして1回だけ凍結した「二番絞り」を使います。粒子数の減少を気にしないような実験は、2回以上凍結したものを使います。凍結させる際は液体窒素を用い、保存は−80℃で行います。

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