エクソソームの基盤技術に焦点をあてたご研究をされている、公益財団法人がん研究会がん研究所 蛋白創製研究部の部長でいらっしゃる芝清隆先生、ならびに同研究生で東京歯科大学口腔インプラント学講座の岩井千弥先生と山本恵史先生のお三方に、エクソソームの密度によるサブクラス解析、および精製方法と注意点についてお話をいただきました。

Ⅰ. エクソソームの研究について

 エクソソームのおもしろいところは、これまで比較的独立して存在していると考えられていた細胞というものが、実はエクソソームを介して、限りなくつながっているのだということがわかったことです(Fig. 1)。細胞と細胞は、エクソソームを介して、絶えず物質交換を行い、濃密なコミュニケーションを取っているようです。異なる生物種の間ですら、エクソソームを介して、核酸やタンパク質の交換が行われているので、生物全体がエクソソームを介してつながっているような世界観が見えてきて、これがとても新鮮です。

Fig.1 エクソソームを介した細胞間コミュニケーション

 エクソソームを中心とした新しい医療の時代が来るのは間違いないと思います。これには、予防、診断、治療のすべての分野が含まれます。
 エクソソームの生物学的意義については、巧みな遺伝的方法を利用した優れた研究結果が、この2,3年で数多く報告されてくるようになってきたのですが、一方で“エクソソームとは何か?”という基本的な、細胞生物学的、生化学的質問に対しては、まだほとんど答えが出ていません。実は、エクソソームは何かという定義については、エクソソームの研究者の間でコンセンサスがないといった状況で、基礎的な部分で混乱があるのも事実です。とはいうものの、細胞が放出する『脂質二重膜がからんだ何か』が、今までわれわれが気づいていなかったいろいろな生物活性を発揮していることは確かで、疑う余地はありません。
 エクソソームをどう精製するかは、エクソソームをどう定義するかにもかかわる問題で、精製法や定量法をしっかりと確立しないと、定義もうまくできません。そもそも多様性の高いエクソソームをどう定義していくのか、真剣に考えると、わけがわからなくなってきます。多様性集団を対象としたサイエンスの難しさは、がん研究においても同様ですので、生物学の今後の課題なのだと思います。
 私たちのチームは、現在、エクソソームの精製法と定量化法について研究し、エクソソームの研究の基盤技術を確立することを目指しています。今回は、当部で行っているエクソソームの精製方法についての知見を中心にご紹介いたします。

> Ⅱ. 密度を切り口としたエクソソームのサブクラス解析

芝 清隆 先生

公益財団法人がん研究会がん研究所
蛋白創製研究部 部長

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岩井 千弥 先生

公益財団法人がん研究会がん研究所
蛋白創製研究部 研究生
東京歯科大学
口腔インプラント学講座

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山本 恵史 先生

公益財団法人がん研究会がん研究所
蛋白創製研究部 研究生
東京歯科大学
口腔インプラント学講座

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公益財団法人 がん研究会 がん研究所

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