生死細胞オートアナライザーVi-CELL XRの自動オンライン・ソリューション

Introduction

現在、バイオプロセスにおいて、全自動リアルタイム培養モニタリングへのニーズが高まっています。このニーズの高まりは、(1)食品医薬品局(FDA)のProcess Analytical Technology(PAT)およびQuality by Design(QBD)の推進1,2、(2)増加しているハイスループット・バイオプロセス開発の需要3、(3)高密度細胞培養および連続処理製造プロセスの出現4、ならびに(4)産業労働力削減などに起因します5。これらを受けて、バイオプロセスにおいて、自動PATストラテジーを実現しようという動向があります。この自動PATストラテジーは、分析パートをよりオペレーションに近づけることで、リアルタイム・プロセス・モニタリングを実現させ、培養状況をより迅速に、より詳しく、モニタリングできるように設計されています。
効果的なPATシステムとして、自動オンライン細胞分析をデザインするためには、一定の基準が求められます。第1に、手動のオフライン分析法と同等あるいはそれ以上に迅速かつ正確に細胞分析を行えること。第2に、手動サンプリングや操作者間のエラーによる分析上のばらつきやサンプルのコンタミネーションを減らせること6。第3に、規模に依存しないデザインであり、実験室から生産に至るまで、同じ分析機器を使用できること。第4に、このシステムを様々な分析装置(HPLCなど)と統合させ、広範囲にわたるPATプラットフォームを簡素化できること。最後に、細胞分析装置から出力されるリアルタイムなデータをプロセス・モニタリング制御とデータ収集(SCADA)、またはバイオプロセス管理システムで確実にハンドリングできることになります。
Flownamics®社は、これらの基準を満たす生死細胞オートアナライザー Vi-CELL XRの自動オンライン分析ソリューションを開発しました。生死細胞オートアナライザー Vi-CELLとSeg-Flow®オンライン・サンプリング・システムとを統合することにより、確実で迅速な細胞分析PATプラットフォームとして、バイオプロセス細胞培養のリアルタイムな細胞の分析が可能になります。本アプリケーション・ノートでは、Vi-CELL XR/Seg-Flow統合システムの属性と性能について説明します。

Automated Cell Culture Monitoring

生死細胞オートアナライザー Vi-CELL XRは、Seg-Flow自動オンライン・サンプリング・システムと連動することで、自動化オンライン分析ソリューションを提供します。このシステムを使用することで、バイオプロセス培養モニタリングが向上します。Seg-Flowシステムは、様々なバイオリアクター容器と接続できます。1個から8個のバイオリアクター容器から自動的にサンプリングでき、各サンプルをVi-CELL XRに送液します。細胞分析が完了したのち、Seg-FlowシステムがVi-CELL XRの測定データを取得、処理し、バイオプロセス培養のリアルタイムなモニタリングを行います。また、Seg-FlowのFlowWebTM OLE-for-process- control(OPC)テクノロジーにより、Vi-CELL XRの測定データをOPC対応のSCADAまたはバイオプロセス管理システムにロードすることで、バイオプロセスのモニタリングおよびコントロールを強化できます。図1は、Vi-CELL XR/Seg-Flowシステムです。

特許を取得したSeg-Flowシステムのセグメント化されたオンライン・サンプリング・テクノロジーにより、細胞を含むサンプルを細胞培養容器からVi-CELL XRへ素早く正確に送液させることができます。この機能により、生死細胞オートアナライザー Vi-CELL XR Vi-CEの分析精度を維持したまま、最小限のサンプル処理時間で稼働できます。高細胞密度培養(すなわち、灌流または濃縮流加培養プロセス)など分析前に希釈を要する場合、追加オプションとしてインラインのサンプル希釈モジュールをご利用できます。また、‎Seg-Flowは、シングルユース流路デザイン(使い捨て)を採用しており、バッチ間のプロダクト交換も容易におこなえ、現在、バイオプロセッシングで採用されている、シングルユース(使い捨て)の実施とも整合しています。

Vi-CELL XR/Seg-Flow 4800自動オンライン生死細胞オートアナライザーシステム
図1. Vi-CELL XR/Seg-Flow 4800自動オンライン生死細胞オートアナライザーシステム

Integrated PAT Solution

Vi-CELL XR/Seg -Flowシステムは、自動オンライン細胞分析に加え、生化学分析装置、HPLC/UHPLC、フラクションコレクタなど、他の分析装置とも統合できるため、幅広いPATストラテジーと、より効果的なバイオプロセス管理ができます。

図2は、細胞、栄養分、代謝をリルタイムでモニタリングできる、自動オンライン細胞培養プロセス・モニタリングPTAストラテジーの典型例を示しています。このシステムでは、Seg-FlowのFlowWebソフトウエア・プラットフォームのOPC通信プロトコルを用い、リアルタイムにVi-CELL XRの測定データがSCADAシステムに送信されます。SCADAシステムにおいて、Vi-CELL XRで得られた生細胞濃度情報を用いて、プロセス・フィード制御装置をコントロールし正確なフィードを行います。

Vi-CELL XR/Seg-Flow統合バイオプロセスPATシステムの構成
図2. Vi-CELL XR/Seg-Flow統合バイオプロセスPATシステムの構成。
Vi-CELL XR/Seg-Flowインターフェースは、様々な分析装置他と統合できるため、
細胞培養のモニタリングおよび制御を行える優れたPATシステムです。

Vi-CELL XR/Seg-Flow Performance Evaluation

Purpose
本評価の目的は、Vi-CELL XRとSeg-Flowを統合した際に分析精度が維持されていることの確認です。2~4週間の細胞培養プロセス中に実施される典型的なサンプリング数(1~2サンプリング/日)で実施し、Vi-CELL XRで測定される平均細胞濃度(n=20)が仕様を満たしているか実験しました7。

Materials & Methods
生死細胞オートアナライザー Vi-CELL XRをSeg-Flow自動オンライン・サンプリングおよびフィード制御システムと統合し、自動オンライン細胞分析システムを構築しました。Seg-Flowシステムは、(1)Vi-CELL XRのリモートコントロール、(2)Vi-CELL XRへの自動サンプル供給、(3)Vi-CELL XRからの分析データの読み出しを行うことができます。また、このシステムは、自動サンプリング・サイクル間にマニュルでのサンプリングとVi-CELL XRでの分析も可能です。

試験施設での細胞培養に限界があることから、標準粒子(20%エチルアルコールにガラスビーズを懸濁させた溶液)を生細胞培養の代わりに用いました。本検証では、0.4×106/mL(Low)と0.7×106/mL(High)の2つの濃度コントロール溶液を使用しました。

本検証では、それぞれの培養層内で濃度コントロール溶液を高速で撹拌し、均一化しました。30分間隔でトータル12時間、各容器からサンプルを自動的に取り出すように、Seg-Flowシステムにプログラムしました。各自動分析後、Seg-Flowシステムによりクリーニング・サイクルとリンス・サイクルを実行し、Seg-Flow流路からサンプルの残りを除去しました。クリーニング・サイクル(70%エタノール溶液使用)後、脱イオン水でリンスし、Seg-Flowの配管のクリーニングを実施して、その後の自動分析に備えました。

各自動分析後5分以内に手作業でサンプリングし、自動オンライン分析に使用したVi-CELL XRを用いて、サンプル分析を行いました。各サンプルセットに対し、合計25回の分析を実施しました。各サンプルセットについて、全細胞濃度(TCC)、生存細胞濃度(VCC)、および細胞生存率(Viability)を評価しました。Vi-CELL XRの細胞タイプ(Cell type)は、”Default”のパラメータを使用し、測定を実施しました。データ分析のため、各パラメータの平均と標準偏差を求めました。

Results

バイオプロセッシングにおいて、細胞培養のパフォーマンスとして一般的に使用される3種類の分析パラメータ(TCC、VCC、およびViability)をモニタリングしました。細胞培養プロセスにおいて、VCCとViabilityは、最も厳密にモニタリングされています。8この産業ニーズに基づき、標準粒子の基準値を用いて、Vi-CELL XR/Seg-Flowインテグレーションシステムを用いたTCC、VCC、およびViability測定の評価をおこないました。

高濃度標準サンプル(High)および低濃度標準サンプルに対する、自動サンプリングおよび手動サンプリング後のVi-CELL XRによる測定のVCCプロファイルおよびVCC平均値を図3および図4Aに示しました。分析プロファイルが示すように、評価期間全体を通して、VCCサンプル分析について、自動サンプリングと手動サンプリングとの間に有意な差異変化は観察されませんでした。また、Vi-CELL XR/Seg-Flowシステムの自動VCC分析法の平均精度(n=25)は、±2.4%でした。これはスタンドアローン使用時のVi-CELL XRの平均精度(±3.0%)以内で測定できることを示しています。

図4Aおよび図4Bに示すように、TCCとViability(細胞生存率)の平均値は、自動サンプリング細胞分析と手動サンプリング細胞分析において、同等の結果を示しました。Vi-CELL XR/Seg-FlowインテグレーションシステムのTCC濃度よびViability(細胞生存率)の測定精度は、それぞれ、±2.0%および±0.5%でした。

生細胞濃度(VCC)プロファイル
図3. 高濃度標準サンプル(0.7×106/ml)と低濃度標準サンプル(0.4×106/ml)の生細胞濃度(VCC)プロファイル。
自動および手動サンプリングの結果は、それぞれ青色および赤色で示しました。
低濃度標準サンプルの細胞生存率
図4. (A)全細胞濃度および生細胞濃度、ならびに(B)高濃度標準サンプルおよび低濃度標準サンプルの細胞生存率。
各バーは、25回の分析の平均値とエラーバー(標準偏差)を示しています。
自動および手動サンププリングのTCC、VCC、およびViabilityは、それぞれ青色および赤色で示しました。

Conclusions

自動オンライン・ソリューションの開発より、生死細胞オートアナライザーVi-CELL XRのリアルタイム細胞分析が可能になり、バイオプロセスのモニタリングとコントロールが向上しました。Seg-Flow自動オンライン・サンプリング・システムにより、フレキシブルな「プラグ&プレイ」分析のオプションがVi-CELL XRに加わりました。Seg-Flowシステム・インターフェースによって、Vi-CELL XRはスタンドアローンでの使用に加えオンライン細胞分析装置として使用できます。また、他の分析装置と統合することで、広範囲な自動PATプラットフォーム実現し、プロセスをより効率的に運用する事ができます。Vi-CELL XR/Seg-Flowシステムは、Vi-CELL XRの分析精度を維持しつつ複数のバイオリアクターと連結できる事に加え、1台のVi-CELL XRをオンライン、オフラインで使用する事ができる画期的なシステムです。

Authors

William Miller, Director, Product Development
Lucas Schimmelpfenning, Applications Engineer
Michael Biksacky, President
Flownamics Analytical Instruments, Inc. Madison, WI USA

Reference

  1. FDA Guidance for Industry, PAT—A Framework for Innovative Pharmaceutical Development, Manufacturing and Quality Assurance. September, 2004.
  2. FDA Guidance for Industry, Q8 (R2) Pharmaceutical Development. November, 2009.
  3. Carrier T, Heldin E, Ahnfelt M, Brekkan E, Hassett R, Peppers S, Rodrigo G,Van Slyke G and Zhao D. High-Throughput Technologies in Bioprocess Development. Encyclopedia of Industrial Biotechnology. 1–75: (2010).
  4. Rios M. Developing an Integrated Continuous Bioprocessing Platform. BioProcess International. 10–11S; 30–33: (2012).
  5. Skibo A. Managing Cost Without Sacrificing Quality. BioProcess International. 10–11; 30–33: (2012).
  6. FDA Guidance for Industry, Q&A Good Manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredients. August, 2001.
  7. Beckman-Coulter, Inc. Vi-CELL XR Cell Viability Analyzer Reference Manual. Fullerton, CA: 2008.
  8. Scott C. Biophysical Analysis of Living Cells. BioProcess International.