生死細胞オートアナライザーVi-CELL XRによる
臍帯血細胞の生存率および生細胞濃度測定

Introduction

骨髄移植において、成熟血液細胞へ分化する幹細胞は、成功の鍵といえます。近年、臍帯血に多くの造血幹細胞が含まれている事が明らかになっています(1)。このことから、骨髄と臍帯血の両方が、数多くの癌や免疫障害、そして特定の遺伝病の治療に使用されています。
臍帯血幹細胞には、骨髄から分離する幹細胞と比較して、重要な利点がいつくかあります。1) 臍帯血からの幹細胞の回収が容易であること。骨髄からの幹細胞採取は、外科的処置(通常は全身麻酔下)が必要になるのに対し、臍帯血は分娩時に臍帯と胎盤から難なく得ることができます。2) 骨髄移植を成功させるためには、ドナーとレシピエントの間のヒト白血球抗原(HLA)がほぼ完全に一致しなければなりません。臍帯血幹細胞は、部分的なミスマッチが存在する場合であっても、「適用」する事ができます(2)。したがって、臍帯血から回収された幹細胞を使用する事で、より多くのレシピエントを対象に移植を行うことができます。
現在では、多くの施設において、生まれたばかりの赤ちゃんの臍帯血の保存や保管がオプションとしてご両親に提供されています(3)。細胞を保管する場合(通常、液体窒素中)、細胞濃度と細胞生存率(Viability)を正確に測定する必要があります(4)。これらの測定は、保存前と融解プロセス後に実施されます。なぜなら、多くの場合、凍結プロセス(通常DMSO)によって、細胞数と生存率が減少する可能性があるためです。

生死細胞オートアナライザー Vi-CELL XR(図1)は、トリパンブルー生体染色色素による細胞生存率の測定を自動化しており、客観的な生細胞濃度の測定を行います。既に述べたように、細胞濃度と細胞生存率は臍帯血細胞バンキング・プロセスに必要とされる2つの重要なパラメータです。
本アプリケーションでは、臍帯血サンプル調製法をご説明すると共に、臍帯血サンプル用Cell Type(解析パラメーター)をご紹介いたします。

図1. Vi-CELL XR

Methods

臍帯血サンプルは、バプティスト病院(米国フロリダ州マイアミから入手しました。室温のリン酸バッファーを使用し血液を等倍希釈しました。フィコール密度勾配遠心法により単核細胞を単離しました(5)。単離した細胞をPBSで1回洗い、2 mLのIsoton* II( Isoflow*)で再懸濁しました。Vi-CELL用サンプルカップ内で、900 μLのIsotonに100 μLの細胞を入れて、細胞懸濁液を調整しました(10分の1倍希釈)。Delft のCell Typeを用いて測定を行い、測定後、解析パラメータのアジャストを行いました。サンプル測定の前にVi-CELL濃度コントロールを測定し、装置の確認を行いました。

Results

図2は、Vi-CELL濃度コントロールの測定結果を示しています。図3では、帯血液細胞のVi-CELL XR解析画像を示します。図4は、臍帯血細胞の解析に用いたCell Typeのパラメータを示します。細胞サイズの範囲を3〜25ミクロン、生細胞のスポットの明るさ:85、細胞の鮮明さ:100、生存細胞スポットの明るさ:65、生存細胞スポット領域:5で設定しました。

図2.
図3.
図4.

Conclusions

臍帯血幹細胞の移植には、骨髄移植と比較し、いくつかの優越性が報告されています。生死細胞オートアナライザーVi-CELL XRを用いる事で、臍帯血細胞の生存率と生細胞濃度の正確な測定が出来ます。
臍帯血サンプルのCell Typeは以下の通りとなります。

  • Minimum diame ter (microns) = 3
    最小サイズ(小さいデブリスやapoptotic bodies を解析から除外します)
  • Maximum diameter (microns) = 25
    最大サイズ(測定対象以外の生細胞、死細胞、デブリスを解析から除外します)
  • Number of images = 50
    撮像枚数
  • Aspirate cycles = 1
    吸引数(正確に一定量を測りとる前の、ミキシング回数を設定します。細胞試料溶液を確実に再縣濁するステップになります)
  • Trypan blue mixing cycles = 3
    トリパンブルーMix回数(トリパンブルー染色液添加後のMix回数を設定します。壊れやすいサンプルの場合、少なく設定します)
  • cell brightness (%) = 85
    細胞輝度(どの程度の暗さの部分までを物体として認識するかCell Brightnessの値をより高く設定すると、より薄い部分までを物体として認識します)
  • Cell sharpness = 100
    細胞シャープネス(どの程度のピントが合っていないもしくは、細胞膜がはっきりしない対象物を認識するのか設定します)
  • Viable cell spot brightness (%) = 65
    生細胞スポット輝度 (Viable cell spot areaと共に生細胞判定に使用します)
  • Viable cell spot area (%) = 5
    生細胞スポット領域 (Viable cell spot brightnessと共に生細胞判定に使用します)
  • Minimum circularity = 0
    最小真円度 (細胞の真円度を規定し、死細胞の判定に使用します。)
  • Decluster degree = Medium
    クラスタ分離度(凝集した細胞の分離クラスを設定できます。)

Authors

Stephen E. Szabo, Ph.D.
Sarah Monroe, B.S.
Beckman Coulter, Inc.

Reference

  1. Kurtzberg, J., Laughlin, M., Graham, M. L., et al. Placental blood as a source of hematopoietic stem cells for transplantation. Blood 90, 4665-4678 (1997).
  2. Zeigner, U., et al. Unrelated umbilical cord stem transplantation for x-linked immunodeficiencies. Journal of Pediatrics 134, No. 4, 570-573 (2001).
  3. American Academy of Pediatrics Work Group on Cord Blood Banking. Cord blood banking for potential future transplantation: subject review. Pediatrics, Vol. 104, No. 11, 116- 118 (1999).
  4. Fiorino, Susan, Johns Hopkins University, The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer Center. Personal Communication.
  5. Boyum, A. Separation of white blood cells,Nature 204, 793-794(1964)