使い勝手と光学系を一新
より正確に、より再現性高く、より簡便に

新しいOptima AUCは、15インチのタッチスクリーンにより、操作性が大幅に向上しました。さらに、光学系はロータチャンバーの外側に収納されており、光学系は汚れることなく、ツマミを回すだけで簡単にセッティングが完了できます。光学系の性能も一新し、 迅速なスキャンと波長再現性の改善により、多波長分析が可能になりました。このため、 最大同時20波長測定できる多波長分析により、複数の発色団を利用した分析が可能です。また、迅速なスキャンにより、より大きな複合体や重たいナノ粒子の測定ができます。

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フロア型超遠心機 Optima X

分析用超遠心システムとは

Optima AUC
Analytical Ultracentrifugation (AUC)

分析用超遠心システム(Analytical Ultracentrifuge、AUC)とは、分離用超遠心機と同様に遠心力を利用して溶液中のタンパク質などの分子を沈降させつつ、その分子の沈降の様子を内蔵された光学系の検出システムによりリアルタイムに測定できる解析装置です。

2種類の光学系(紫外可視吸光測定計並びにレイリー干渉計)を駆使して、溶液中でのタンパク質の挙動の正確な測定が可能です。また、AUCで測定したデータを最先端のソフトウエアで解析することで、包括的な結果が得られます。

AUCは、タンパク質だけでなくそれ以外の物質の分子量や流体力学的および熱力学的な特性を証明するための、最も汎用性が高く、厳密かつ正確な解析装置です。

AUC アプリケーション

  • 沈降係数
  • 分子量
  • 化学量論
  • タンパク質凝集体
  • リガンド結合
  • 結合効率
  • 多分散性

先進的な特長である新しく画期的な多波長解析により、混合物中の複数の発色団を利用したスペクトル分解が可能になり、完全に新しい次元の実験デザインが初めて可能になりました。

Borries Demeler
(University Texas Health Science Center)

 

利 点

  • サンプル回収が可能
  • 非破壊分析
  • マトリックスフリー
  • 最小限のバッファー制約
  • 低濃度での検出
  • 少ないサンプル容量(最少量:沈降速度法100 μL、平衡法 25 μL)
  • 標準サンプルが不要
  • 簡便な操作性

分析用超遠心システムの原理

分析用超遠心システムは、「遠心中に起こるサンプルの沈降の様子を測定することができる装置」です。データは、ロータ内のセル中の各位置での濃度のグラフとして得られます。濃度情報は溶質の光学的吸収または干渉縞の変位として記録されます。試料となる溶液を、上下が光を透過するウィンドウに挟まれたセルに入れ遠心します。回転数と温度を制御しつつ、セルが光学検出器の上を通過するタイミングを合わせて光をあて、セル内の沈降の様子(濃度勾配)を測定します。さらに時間を追ってスキャンを繰り返すことで経時的な沈降の様子(濃度勾配)の変化を記録していきます。

AUCの光学系としては、2種類使用できます。

  • 紫外可視吸光測定計

吸収光学系では光源にキセノンフラッシュランプを使い、回転中のセル(対照セルとサンプルセル)に、ある波長(UVや可視光)の光を照射します。数万回転で回っているセルに対してタイミングを合わせて光を当てます。さらにセルの半径方向(回転の中心側から外側の方向)に沿って、スキャンをして各位置でのサンプルによる吸光度を記録します。

  • レイリー干渉計

干渉光学系には光源にレーザーを用い、2つの小さいスリットでレーザー光を分離し、対照となる溶媒側セルとサンプルが含まれる溶液側セルにそれぞれ照射されます。セルを通過した光が作る屈折率の違いから生じる干渉縞(フリンジ)を、高感度CCDカメラで、セル全体の画像としてとらえ、そこから濃度情報を得ることができます。干渉光学系は吸収を持たないサンプルや高濃度溶液のサンプルに対して有効な検出法になります。

AUCには、2つの解析方法があります。

  • 沈降速度法

沈降速度法は、タンパク質などの溶質分子がサンプルセルの底に到達するまでの分子の沈降の様子を経時的に測定する時間依存的な解析方法で、最新のAUCのアプリケーションでは最初に選択される手法です。この沈降の様子から、分子量、形状や分散性などの情報を得ることができます。

分かること:
沈降計数 分子量 形状 均一性 分散性

  • 沈降平衡法

沈降平衡法は、タンパク質などの溶質分子がサンプルセルの底に沈降しないような低い遠心力で遠心し、分子を平衡状態に到達させてから測定する非時間依存的な解析方法です。遠心を開始すると、サンプルセル内部の溶質分子は沈降と拡散の2つに力によって移動し、分子の濃度勾配ができます。その後、分子の沈降と拡散がちょうど釣り合ったとき、この濃度勾配は収束し、分子は平衡状態となります(上図の左、赤線の状態)。平衡状態のカーブから、検量線によらない分子量を決定することができます。

分かること:
分子量 分散性 相互作用

医薬品開発での分析用超遠心システム(AUC)の使用用途

基礎研究ステージ

  • ウイルスベクターの開発沈降速度法

治療用遺伝子を導入したウイルスベクターの性状解析が可能です。アデノウイルスベクター等研究開発者にとって、Optima AUCは強力なツールとなります。

ウイルスに内包された核酸量を推定可能

アデノ随伴ウイルスの解析

アデノ随伴ウイルス(AAV)は遺伝子治療のアプローチに使用され、治療用遺伝子が導入されていないAAVと導入されたAAVを見分けることは、治療効果や副作用に関わるため非常に重要です。内包された遺伝子量に応じてAAV粒子の密度が変化します。つまり、遺伝子量が多いほど、密度が大きくなり、沈降係数も大きくなります。このため、沈降係数から導入されている遺伝子量を推察できることから、作成した、AAVの品質管理等に使用することができます。

  • タンパク質の性状解析沈降速度法

AUCはタンパク質を溶液の状態ままで、分子量測定や純度検定が可能なゴールドスタンダードです。さらに、溶液中でのタンパク質のコンホメーション変化、均質性、形態に関する情報を得ることができます。

複合体を構成する分子のモル比の決定が可能

TRAPとanti-TRAPの複合体形成の確認

複合体を形成しているタンパク質の結晶化やX線回析の解析の際に、溶液中で分子同士が何対何で結合しているか示唆するデータを取得することは非常に有用です。タンパク質翻訳を調整しているTRAP(trp RNA-Binding Attenuation Protein)は、anti-TRAPの複合体を形成します。TRAPに対し、anti-TRAPをモル比で0.5、1、2、6、10倍加えて沈降係数の分布がどう変化するか測定した結果が、図1です。anti-TRAPを全く入れていない場合、 TRAPの沈降係数は4.7 Sですが、 anti-TRAPの含量が増加すると沈降係数が大きい方(右側)へシフトしていきます。6倍以上では、それ以上大きい方へシフトしないことから、 TRAPとanti-TRAPが1:6で複合体を形成していることが示唆されます。この濃度比で結晶化を行い、X線回析データの収集を経て、立体構造の決定することができます。 このように、AUCにより立体構造の根拠を示すデータを得ることができます。

図1

  • 医薬品の特性評価

AUCは、抗体医薬品(ADCs)やナノ粒子と低分子医薬品の複合体の特性評価において、日常的に使用されています。

AUCから得られる結果は明確で信頼性があり、また再現性もあります。巨大分子の特性解析やタンパク質相互作用解析などの研究にはAUCが最適です。このため、私はAUCを選択します。

Jia Ma, PhD Director Bioanalytical Core, Purdue University

製剤開発ステージ

  • 製剤

AUCは溶液の状態で測定が可能ですので、製剤の溶媒条件検討、滴定、製剤化の研究に最適です。

我々のサンプルのコンホメーションの不均一性とその大きなサイズのため他の分析手法では不可能でしたが、AUC の沈降速度法の実験によりクロマチン凝集メカニズムについての多くの発展性のある研究結果が得られました。

Jeffrey C. Hansen, PhD, Colorado State University

  • 凝集物の確認 - 分散性・凝集性評価 -沈降速度法

AUCにより、ペプチドやポリマーの分子の状態(立体構造や安定性)を分析することができます。
特に、溶液中でのペプチドなどの分子同士の非共有結合的な凝集物の分析にAUCは有効です。

0.1%の凝集体を定量可能

モノクローナル抗体製剤に含まれる凝集物の解析

モノクローナル抗体製剤などのバイオ医薬品において、その会合体の存在は薬効に影響を及ぼし、副作用の原因となりえます。このため、さまざまな研究開発ステージにおいて、バイオ医薬の原料並びに製剤の凝集体を解析することはきわめて重要です。バイオ医薬品の品質管理は、「生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の規格及び試験方法」に準じ実施されています。AUCはバイオ医薬品中の凝集物を0.1%オーダーで定量できることから非常に重要な分析方法に位置付けられており、FDA (Food and Drug Administration, USA)は、バイオ医薬品の品質管理技術としてAUCを高く評価しています。

沈降速度法において、モノマーにくらべて凝集体は速く沈降します。この沈降の様子から沈降係数の分布として凝集体の含量を測定することができます(図A)。

図Bは、製造直後のモノクローナル抗体試料の沈降パターンから、2つのロットの違いを解析した沈降係数分布です。2%以下しか含まれない凝集体の存在が確実に定量的に測定されているとともに、わずか0.1%の凝集体も検出できます。

図Cは、過酷試験により凝集体を形成させたモノクローナル抗体試料の測定結果です。各凝集体の割合を正確に得ることができ、Heptamerが0.1%含まれていることも分かります。

  • ナノ粒子沈降速度法

AUCは、製剤を包括する前後のナノ粒子において粒子径測定や形状の変化を調査するのに有効です。

0.1 nmの驚異的な分解能

白金コロイド分析データ

直径が0.1 nm異なるコロイド粒子の分布を測定できます。

似て非なる物質の解析が可能

カーボンナノチューブ分析データ

単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と2層カーボンナノチューブ(DWCNT)を簡単に区別することができます。

  • 相互作用解析沈降平衡法

担体への固定が不要、溶液中での相互作用解析が可能

溶液中の分子間相互作用解析

AUCはタンパク質などの分子を担体(基盤)等に固定することなく、水溶液のサンプルをそのまま測定することができるので、不自然でない状態での解離定数を求めることができます。例えば、2量体の分子間相互作用を測定する場合、片方を担体に固定したときの解離定数K’よりも、溶液状態で測定した解離定数Kの方が、より現実的な値が得られます。

前臨床並びに治験ステージ

  • ロット間差評価(毒性試験)
  • 製剤化開発
  • 製剤評価(特性解析、安定性、ロットリリース試験)
  • 医薬品の加速安定性試験
  • 製造方法バリデーション(ストレス試験)

原体や製剤の品質管理

アプリケーション

  • 医薬品原体
  • 製剤
  • 医薬品原体と製剤の品質分析
  • 医薬品原体と製剤の安定性
  • 参照標準品の評価

超遠心分析法は、溶液中でのタンパク質やその他のマクロ分子の分析において最も強力で汎用性の高い分析手法の1つで、私のラボのワークフローにおいて非常に重要な位置づけにあります。私たちが扱っているタンパク質サンプルが単量体または、凝集体を含む高次構造を形成しているのかどうか超遠心分析法によりわかります。このため、私たちは、超遠心分析法は新しいタンパク質の動態の迅速な特性解析のためのベストな方法だと解りました。また、私たちは、溶液中のタンパク質の構造データ、タンパク質-リガンド結合の定量的な解析や、フォールディング過程の検証ができるので、超遠心分析法は構造生物学者たちの理想を補完する技術です。

Andrew Herr, PhD; Cincinnati Children’s Hospital Medical Center

ロータおよび分析用セル

製品番号 製品名
B86438 分析用超遠心システム Optima AUC( 紫外可視光吸収)
B86437 分析用超遠心システム Optima AUC( 紫外可視光吸収、レイリー干渉)
361964 分析用ロータ An-60Ti、4穴ロータ
363782 分析用ロータ An-50Ti、8穴ロータ
392773 ダブルセクターフロースルーセルアセンブリ
(Epon charcoal-filled、サファイアウィンドウタイプ)
392772 ダブルセクターフロースルーセルアセンブリ
(Epon charcoal-filled、クオーツウィンドウタイプ)
360219 カウンターバランス(おもりセット付)
361318 トルクスタンドアセンブリ

主な仕様

最高回転数 60,000 rpm
最大遠心力 290,000 xg
寸法 940 (W) x 681 (D) x 1,257 (H) mm
重量 508.5 kg
電源 AC単相 200 V, 50/60 Hz, 30 A

新旧比較 Optima AUC vs ProteomeLab

Optima AUCは、吸光度測定においてデータ取得速度が、ProteomeLabよりも12倍以上高く、レイリー干渉測定において、干渉縞が2倍以上多いため、測定誤差が少なく、ノイズが低くなります。そのため、データの再現性が高く、より正確で分解能の高い結果が得られます。 また、データ取得速度が速くなったため、より大きい粒子の測定が可能となりました。

項目 Optima AUC ProteomeLab(旧製品)
データ取得速度 ABS: <7 sec/cell
INT : <5 sec/scan
ABS: 90 sec/cell
INT : 5 sec/scan
最大解析数(ABS) 20波長 1波長
波長再現性(ABS) ± 0.5 nm ± 3 nm
レイリー干渉縞数 ≧10縞/cell ≧4縞/cell
測定濃度範囲
ABS: Luteinizing Hormone
INT: BSA
ABS: 0.005 – 2 mg/mL
INT : 0.025 – 5 mg/mL
ABS: 0.005 – 1.5 mg/mL
INT : 0.025 – 4 mg/mL

皆様の課題解決のためのご相談をお待ちしております。