トナー粒子径分布の測定方法

測定原理

1.電気的検知帯法(コールター原理)

電気的検知帯法(コ-ルタ-原理)と呼ばれる粒度分布測定法では、粒子の分散されている電解液中に一つの貫通した細孔を有する壁を設け、両側に電極を置き、細孔を通して定電流を流しておく。細孔の内側からある一定の吸引力で電解液を吸引することにより、粒子が電解液と共に細孔を通過する。この時、細孔中の電解液は粒子の体積に相当する量だけ減少し、細孔の電気抵抗はこの排除された電解液量に比例して、より大きくなる。細孔に流れている電流は粒子の存在に関わらず一定であるため、電圧変化量が細孔(通常、この細孔はアパチャーという)の電気抵抗の変化量に比例する。電圧変化量(パルス波高)から粒子の体積を計測し、この体積から粒子の球相当径を求め、粒子径分布を表示する。

また、電圧変化(電気パルス)を計数することによって、粒子が細孔を通過した数がカウントされ、即ち、定量的に懸濁液中の粒子濃度を測定することができる。(図1)
国際規格ISO 13319「Determination of particle size distributions -Electrical sensing zone method」には、コールター原理を使った粒子の粒度分布測定に関する手引きが記載されている。

2.装置の構成

上述したように、電気的検知帯法では、電解液小さな径の細孔(アパチャー)に通し、両側の2つの電極から定電流を流す。非常にわずかな電流(通常1 mA程度)であるが、アパチャーの電気抵抗によって、アパチャー内に非常に大きな電流密度が生まれる。粒子がアパチャーを通過すると、その体積に相当する電解液が置き換えられ、アパチャーの電気抵抗が瞬間的に上昇する。電気抵抗の変化はごくわずかであるが、増幅回路によってその変化に比例する電圧に変換する。増幅された電気パルスは、三つの回路に分けられる。オシロスコープは、電気パルスをリアルタイムで表示し、測定が正常に進行しているかどうかを確認する。また、計数回路と、パルス高さの解析回路は、粒子濃度と粒子径分布を計算するための回路で、データ処理システムに送られる。また、定量的に粒子数を測定するために、吸引体積測定器も設け、一定体積の懸濁液中の粒子数をカウントする。図2は、電気的検知帯法の市販装置の構成です。

3.球相当径

電気的検知帯法は、粒子個々の真の体積を測定しているが、工業分野に応用する場合、粒子を直径で表すのが一般的なため、粒子体積を球相当径(ESD)に変換する。この場合、“粒子径”は、その粒子と同じ体積の球の直径になる。画像解析法など粒子の2次元データ(面積)から算出する方法は、検出位置により、1個の粒子から、複数の値が出来てしまう。仮に、同一の三角錐の粒子を測定したとしても、値はばらつく。体積を測定する方法のみが、測定方向の影響を受けない。

4.デジタルパルス波形処理機能

最新の電気的検知帯法の測定装置では、粒子個々の電気パルス波形(高さと幅)をデジタル変換する。すべての粒子のパルス波形データとその測定時間を、粒子径分布データと共に取得保存させることによって、再測定せず粒子径分布の分解能変更が可能となり、さらにマルチパラメーターでの相関解析に対応している。例えば、測定済みのデータに不備があるかどうか解析が可能である。図4は、平均粒子径の経時変化データによって、測定中のサンプルの変化(沈降や凝集、溶解現象)またはアパチャーの状態を確認ができ、測定データの信頼性が判断できる。さらに、電気パルス幅とパルス高さの2次元プロットから、トナーの凝集・形状解析に応用することも考えられる。