ゼータ電位測定装置

はじめに

ゼータ電位は、液中の粒子や細胞、フィルム表面などに生じる物理的特性で、ゼータ電位を利用して、懸濁液やエマルジョンの状態(分散性、凝集性)や、壁面への粒子の吸着性をコントロールすることができます。製造工程における所要時間の短縮化や、製品の長期安定性の予測などにも活用できる重要な指標です。

ゼータ電位(ゼータポテンシャル)とは

粒子などがイオンを含む液体中に存在するとき、その表面電荷の影響により、逆のイオンが引き寄せられます。粒子表面が、例えばマイナスに帯電しているのならば、プラスのイオンが引き寄せられ、電気的な二重構造を作ります(電気二重層と呼びます)。この電気二重層により、粒子間の反発力が生まれます。粒子表面近傍では、逆の荷電のイオン濃度が高く、遠ざかるにつれて、低下してゆきます。一方、粒子と同じ荷電のイオンの濃度は、遠ざかるにつれて、高くなります。この粒子がブラウン運動や重力などで、液体中を移動すると、引き寄せられていたイオンも、粒子と一体となって動きます。しかし、遠くにいるイオンを引き連れて動くことはできません。
粒子表面に最も強くイオンが吸着している部分を、固定層、またはStern層と呼びます。表面電荷がイオンに影響を及ぼす限界の部分(引き連れて共に移動できる境界面)を、すべり面、またはずり面と呼びます。(図1参照)

このすべり面における電位を、ゼータ電位(ゼータポテンシャル)と呼びます。(図2参照) 電位基準点は、粒子から十分に離れた電気的中性である領域の電位をゼロ点とします。

一般に、液体中の各粒子の表面電位を直接測定するのは困難なために、ゼータ電位を求めることになります。各粒子の表面電位やゼータ電位は、粒子の分散の安定性、また表面改質の効果を検討する上で重要なポイントとなります。(図3参照)

また、ゼータ電位は粒子の周りの環境(液温、pH、添加剤、界面活性剤など)により変化するため、目的とする条件下において粒子がどのような状態にあるかを推察する上でも重要な情報となります。ゼータ電位を指標に粒子の分散性や、壁面への粒子の吸着性をコントロールできます。(図4、図5参照)

電気二重層による反発力と、分子間力による粒子間の引力の相対的な関係を論じ、粒子の分散と凝集現象を解明した理論は、DLVO理論と呼ばれます。1940年代、旧ソ連のDerjaguin、Landau,オランダのVerwey,Overbeekらにより、コロイド系の安定性に関する理論が構築され、その頭文字に由来します。

ゼータ電位測定方法

ゼータ電位を測定する方法は、電気泳動法が主流です。電場を用いて、粒子の電気泳動移動度を測定します。両端に電極を埋め込んだ石英セルに、電場を与えると、粒子は、逆の極性をもつ電極の方に移動します。移動速度(泳動速度)は、粒子の荷電状態に比例します。その移動速度を、レーザー光で測定し、単位電場当たりの移動速度(電気泳動移動度)を求め、Henryの式によりゼータ電位に換算します。ドップラー効果でシフトした周波数(ドップラー周波数)を解析する方法を用いれば、ゼータ電位の分布がわかります。 電気泳動法とは図6、図7のような模式図にて表されます。

一般に、電場中の移動現象としては、電気泳動(電場による荷電粒子やイオンの移動)と電気浸透(イオンの移動にともなう液体の移動)があります。電気泳動法では、図8のように粒子の電気泳動だけでなく、実際には石英セルの表面電位(通常、マイナスに荷電)による電気浸透により、複雑な速度分布を持つ液体の流れ(電気浸透流と呼びます)が発生します。粒子は、この液体の流れの影響を受け、セル内を循環します。旧来の電気泳動法は、電気浸透流の影響の無いポイント(静止面と呼びます)を見つけ出して、粒子の電気泳動の動きを測定しました。しかし、この方法は測定装置の調整に労力を要し、静止面が得にくい液体(アルコールなど)での測定が困難という欠点がありました。

電気泳動法の重大な課題である電気浸透流の影響を解決するために、いくつかの方法が提案されました。セルの形状から理論的静止面を求める方法が考案されましたが、電気浸透流は、セルの表面電位に影響され、セルの表面電位は、液体のpH、サンプルや添加剤の表面吸着、粒子の沈降、セルの汚れの状態により変化し、しばしば上下非対称な電気浸透流を作ります。また、ジュール熱による対流の影響もあります。 電気浸透流の影響を最小化する試みとして、ドップラー周波数を直接測定するのではなく,電場を繰り返し速く反転させ,それぞれの反射波の位相差から平均移動速度を検出する方法が提案されました(PALS法、位相差検出法)。DelsaMaxは、MP-PALS法を採用し、1秒間に10回の電場スイッチングを行う最新のシステムです。

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