動的光散乱法の測定原理

6. 超遠心分離法による動的光散乱法の測定精度の改善

ナノ粒子の測定方法として、簡便性から動的光散乱法(光子相関法)がしばしば用いられますが、動的光散乱法は、原理的に分布幅の広いサンプルは不得意で再現性や精度が良くありません。特に大きな粒子やダストが混入していると、その影響を強く受けます。(この性質を利用して、ごく微量の大きな異物粒子をより高感度で検出する狭角度動的光散乱法がある)。
動的光散乱法において、常に再現性の良い正確な測定を行うためには、"妨害物質"である粗大粒子や凝集粒子を除去して、測定目的粒子集団のみの分散系にする必要があり、その目的のために超遠心分離法によるサンプル前処理は非常に有効な手段です。
超遠心分離法により大きなナノ粒子群を沈降させ、目的の小さなナノ粒子群のみを上清サンプルとして分離して、そのサンプルを動的光散乱法で測定することにより、再現性の良い正確な粒子サイズを求めることができます。その例を示します。

【使用装置】

1. ベックマン・コールター社製
卓上型超遠心機OptimaMAX-XP
最高回転数:150,000 rpm
最大遠心力:1,019,000 G
使用ロータ:TLA-110
使用チューブ:肉厚PCチューブ

【使用サンプル】

Duke Scientific Corporation社製 20nm標準粒子
ベックマン・コールター社製 100nm標準粒子

【測定手順と測定結果】

  • 20nmと100nmの標準粒子を、2mLのイオン交換水が入ったセルに加えて、DelsaNanoで測定しました。

    20nmと100nmのピークのほかに、400nm付近に凝集のピークが測定されました。

  • 次に、上記サンプルを遠心チューブに移して、固定角ロータTLA110を用いて30,000rpm(48,900g)で10分間遠心後、上清をDelsaNanoで測定しました。

    400nm付近の凝集物は取り除かれ、さらに100nmの粒子は少し遠心沈降しています。

  • 同様に36,000rpm(70,400g)で10分間遠心後、上清をDelsaNanoで測定しました。

    100nmの粒子はさらに遠心沈降しています。

  • 同様に、43,000rpm(100,400g)で10分間遠心後、上清をDelsaNanoで測定しました。

    100nmの粒子は完全に取り除かれています。