動的光散乱法の測定原理

3. 自己相関関数とは

揺らぎを観測し、拡散係数の算出のために、PMT信号の相関性を数学的に解析する必要があります。この方法に自己相関関数(Auto Correlation Function)を用います。

散乱光の強度の揺らぎは、拡散する粒子により生じ、この揺らぎの時間的尺度は散乱光強度の自己相関関数を計算することで求められます。この関数は次式で定義されます。

G(τ) =自己相関関数 ACF
I(t) = 時間tに検出した散乱強度
I(t+τ) = 時間t +τに検出した散乱強度
τ = 遅れ時間 <> = <>内の時間平均

自己相関関数の計算方法は、任意の時間tにおける強度の値と、そのτ時間後の値を比較します。τにおける自己相関関数が高い値であれば、任意の時点における散乱強度とτ時間後における強度との間に強い相関関係があります。強度は粒子の位置パターンに関係するので、異なる2つの時間における強度間に高い相関関係があることは、その2測定間で粒子がそれほど離れた位置へ移動していないことになります。τが小さい時には粒子はあまり移動していないので、散乱光強度の変化は小さくなり高い相関を示します。τが大きくなると粒子の位置は不確定になるので、散乱強度もランダムになり、相関は低くなります。このため、測定で得られる自己相関関数は指数関数的な減衰曲線になります。

自己相関関数と粒径の関係
自己相関関数と粒径の関係

大きなτであるのに高い相関を有する自己相関関数の場合は、ゆっくり移動する大きな粒子を意味します。自己相関関数を多点で長く計測することにより、光強度の揺れの速度(粒子の位置パターンの変化速度:拡散係数)の定量測定ができます。この揺れの時間尺度(減衰時間と呼ばれます)を測定し、拡散係数から粒子径を算出します。

サブミクロン粒子アナライザーには、専用コンピュータであるデジタル自己相関器が搭載されており、80種類の遅れ時間τのG(τ)をリアルタイムで計算します。溶液中のすべての粒子の径が同一の場合(単分散)、散乱光強度の自己相関関数は次図に示すように単一減衰指数曲線になり、次式で与えられます。

・・・(3)

この指数曲線の減衰定数はΓです。ΓはDK2に等しく、ここでDは拡散係数、Kは次式で与えられます。

・・・(4)

n = 希釈液の屈折率
λ = 真空中のレーザ波長
θ = 散乱強度測定の角度

多分散のサンプルの場合、観測される自己相関関数は粒子径ごとの減衰指数曲線の和になります。

下図に自己相関関数の二例を示します。一般的なリニアτと、独自の対数τを用いた自己相関関数です。

リニア自己相関関数の例
対数自己相関関数の例