レーザ回折・散乱法粒子径分布測定装置の進化

2. レーザ回折・散乱粒子径分布測定法とは

粒子に光があたると、光は回析したり散乱したりします。その回折/散乱光の強度パターンは粒子の大きさに依存するので、回析折/散乱光の角度により異なる強度パターン(強度分布)を観測し、Fraunhofer(フランホーファ)回折理論やMie(ミー)散乱理論を用いて、粒子径分布を求めるのがレーザ回折・散乱法です。
粒子の大きさが照射するレーザ光の波長に比べて十分に大きい場合(数μm以上)には、回折現象が支配的になり、フランホーファ回析理論による回析パターンの解析で粒子径分布を決定することができます。
ところが、粒子の大きさがレーザ光の波長(750nm)と同程度かそれ以下なると散乱現象が支配的となり、粒子が球状ならばミーの散乱理論による角度により異なる散乱強度パターンの解析を用いる必要があります。散乱パターンの解析には粒子や分散体の屈折率が必要であり、測定に先立って屈折率の入力が必要です。
さらに、粒子径が、レーザの波長の約半分(約0.3μm)以下になるとレイリー散乱境界領域に入り、粒子径に関係なく散乱パターンはほぼ同じパターンになり、粒度分布解析は不正確になります。そのため、ナノレベル(0.1ミクロン以下)の測定精度と分解能は、劣化します。

1. 光散乱と回折

光が障害物によって遮られたとき、その障害物の幾何学的な影の部分に光が回り込む現象を回折と呼びます。この現象は、光の波としての特徴によるものです。障害物の背後に伝播した波面は干渉し合い、回折パターンとよばれるエネルギー密度の分布を生じます。
障害物がある程度小さくなると(波長と同程度)、障害物の影の部分に光が回り込むだけではなく、光が障害物に入射、反射また吸収されることもあります。それらを総合し散乱と呼びます。粒子径計測に最も利用される光散乱は、同方向の均質球形粒子による平面波(レーザ)の散乱です。この現象に対する解は、1908年にLorenzとMieによって導かれた球形と仮定した散乱理論でミー理論と呼びます。

2. 球状粒子のフランホーファ回折パターンとミー散乱パターン

図1に示しているのは水中PSL(ラテックス)球状粒子のフランホーファ回折パターンです。縦軸は回折光の強度であり、横軸は回折光角度と粒子径を表しています。粒子サイズが小さくなるにつれて、角度に対する回折パターンの変化は小さくなります。狭角度の測定が重要だとわかります。大粒子の場合、回折パターンは振動と位相情報があり、これに対して、小粒子の場合、回折パターンは振動と位相情報がほとんどなくなります。即ち、小さい粒子に対する測定分解能がなくなることを意味しています。
図2に示しているのは水中PSL球状粒子のミー散乱パターンです。散乱パターンは見かけ上回折パターンと似ていますが、粒子サイズがある程度小さくなっても散乱パターンの振動と位相情報を見分けることができる。これは散乱パターン解析で粒子径分布に計算する際、測定分解能が高いことを意味しています。このように散乱は回折に比べ、より小さい粒子が解析できます。しかし、波長の約半分以下の粒子経になると分解能が失われます。これは、粒子径に関係なく、すべて同じ散乱パターンになるレイリー散乱境界領域に入るためです。

図1 水中PSL粒子フランホーファ回折パターン
図2 水中PSL粒子ミー散乱パターン