粒度分布測定の基礎知識

6. 粒度分布測定原理

主な粒度分布測定原理

  画像解析法 コールター法 遠心沈降法 レーザー回折
散乱法
測定粒子径の
定義
相当径 相当径 有効径 有効径
円面積相当径
など
球体積相当径 ストークス径 回折散乱径
入力パラメーター 不要 不要 試料の密度など 試料の屈折率
など
測定物理量 粒子1個1個の投影面積と形状
(画素数)
粒子1個1個の
体積
(電圧)
沈降速度。球と仮定した粒子の沈降速度と照合
(吸光度など)
回折散乱パターン。球と仮定した粒子の回折散乱パターンと照合
(散乱光強度
パターン )
粒子形状の影響 ややあり なし あり 非常にあり
機器較正・
キャリブレーション
- 可能
国際標準物質あり
不可
(補正)
不可
メーカー間差
機種間差
ややあり なし ややあり あり
基本粒度分布 個数基準、
面積基準
個数基準、
体積基準
重量基準 表面積基準?

画像解析法

個々の粒子の面積(2次元)を直接計測して、相当径を測定する。
一般的に、画像解析法は、長さ(一次元)を測る顕微鏡法(目視法)よりも、多くの粒子数を計測し、客観的な指標で粒子画像(2次元)を解析できる。粒子の形状を解析可能で、屈折率の影響を受けない。
精度の高い粒度分布を得るには、測定粒子数が数万個以上は必要。フロー方式は、短時間で多くの粒子の測定が可能である。
面積測定法なので、球状以外の試料は粒子の向きによる誤差を必ず生じる。粒子径の小さい方の測定範囲では、フォーカス(ピンボケ)の影響による誤差も生じる可能性がある。

コールター法(電気的検知帯法)

個々の粒子の体積(3次元)を直接計測して、相当径を測定する。キャリブレーションが可能である。非常に高い正確さ、精度、分解能を有する。
形状、色、屈折率、密度、通過方向の影響を受けない理想的な粒子計測法である。アパチャー(細孔)を利用し、その径により、測定範囲が決まる。アパチャー(細孔)を交換して、測定範囲を変更する。
精度の高い粒度分布を得るには、測定粒子数は、数万個以上は必要。計測は、通常数秒で完了。
測定範囲が狭いので、分布幅の広い試料は不適。電解質入り分散媒(例、食塩水、電解質入りイソプロピルアルコールやMEK)に試料を分散させる必要がある。

遠心沈降法

液相中の粒子群の沈降状態を吸光度などから計測して、球と仮定して導かれたストークスの式などと照合し、有効径(ストークス径)を求める。計算には粒子密度、分散媒の粘性などの入力が必要。
形状の影響を受ける。測定に時間がかかる。 微小粒子になると、拡散現象による誤差が大きくなる。

レーザ回折・散乱法

粒子群の複雑な回折散乱パターンを角度の異なる複数の検出器で計測して、球と仮定して導かれたMie散乱理論と回折理論から作られる理論的回折散乱パターンと実測回折散乱パターンを照合し、有効径(回折散乱径)を求める。計算には試料の屈折率などの入力が必要。照合する方法には、対数正規分布やロジンラムラー分布関数に当てはめる従来のアルゴリズムと、新たに開発されたマトリックス(逆行列)法によるアルゴリズムがある。メーカー間差や機種間差が大きい。較正ができない。
形状の影響を受ける。針状試料は不適。

<試料の屈折率の影響に関して>

レーザ回折・散乱法の重要なファクターである屈折率は、その値を変更すると、粒子径や粒度分布が変化する。液体に関しては各種文献、資料に、屈折率が記載されているが、粒子を構成している物質(固体)に関しては充分とは言えないのが現状である。また混合されている試料や、複数の成分で構成されている粒子に関しては、屈折率が決定できない。

その他の粒度分布測定原理 サブミクロン以下を測定する原理として、動的光散乱法と超遠心沈降法などがある。動的光散乱法は、散乱強度のゆらぎなどから拡散係数を、超遠心沈降法は、沈降パターンの経時変化データからLammの方程式を用いて沈降係数と拡散係数を求め、有効径を求める。溶媒の粘度などの入力が必要。

参考 測定原理の違いによる精度と分解能の違い