Vol.59 肉薄チューブが潰れ、底に固まって取れない。さて、どうする?

皆様 こんにちは

前回のvol.58「なぜ、肉薄チューブはフル容量でないと破損してしまうのか」では、肉薄チューブが潰れてしまう理由を説明いたしました。今回は、万が一、肉薄チューブが潰れてバケットの底に固まってしまった場合の取り出し方を説明いたします。

超遠心機用の肉薄チューブ(Opti-Sealチューブ・Quick-Sealチューブ・肉薄オープントップチューブ)は、チューブの縁から2~3 mmのところまでサンプルを入れなければなりません。もし、それよりも少ない容量でスタートしてしまうと、チューブは確実に潰れてしまいます。

前回の記事にてチューブ壁が潰れ蛇腹状になっている写真をお見せしましたが、あれは数分だけ遠心した場合の状態です。大抵の超遠心処理は20分~数時間です。運よくインバランスが起きずに遠心が終わった場合(インバランスが起きてドライブが破損することもありえます)に、中を覗いてみると。。。

バケットの底に、チューブの塊がへばり付いているのが見えるでしょう。そして、ほとんどの場合は、このプラスチック塊を取ることができません。

このプラスチック塊をどのように取り除くか、スウィングロータを中心に説明いたします。

【準備する道具】

  • オートクレーブ
  • O-リングを外す工具
  • バケットの底に届くピンセット
  • 軍手などの手袋

【手順】

  1. バケットについているO-リングを外し、中性洗剤で洗浄します。外す際に、専用の工具(パーツ番号978354)があると便利ですが、100円ショップなどで購入できる小さめの編み物用ツールでも代用できます。
  2. サンプルをデカンテーションで取り出します。ペレットが形成されている場合、その成分を溶解できる溶剤を入れることで回収できる場合もあります。
  3. バケットをオートクレーブ(121℃、20分)します。軍手を2枚重ねなどで保護し、熱いうちに取り出します。
  4. 熱いうちに、バケットを傷つけないように、ピンセットで潰れたチューブを取り出します。
  5. 放冷します。
  6. 常温に戻りましたら、中性洗剤で洗浄します。詳しくはvol.3「ベックマン純正のロータ用洗剤と洗浄ブラシがあることをご存じでしたか? -ロータメンテナンス法 その2-」をご覧ください。
  7. 乾燥後、O-リングにバキュームグリスを塗って、バケットに付けます。詳しくはvol.2「ロータO-リングのメンテナンス法 -ロータメンテナンス法 その1-」をご覧ください。
  8. ネジ部に、スピンコートを塗ります。詳しくはvol.4「ロータにスピンコート(潤滑材)を塗るのは、どうして大切なのでしょう? -ロータメンテナンス法 その3-」をご覧ください。

如何でしたでしょうか。かなり面倒であることをおわかりいただけるかと思います。サンプル容量は必ず守ってください。

また、化学に強い方でしたら、チタンを侵さず、チューブを溶かす有機溶剤でもいいのでは?と考えられるかもしれませんが、おすすめしません。遠心力による圧縮によって、かなり固い塊になっているため、有機溶媒の浸透がまばらになり、中途半端な状態(一部が柔らく一部が固い状態)になりやすいからです。部分的に柔らかくなるので、プラスチック塊を取ることは可能ですが、固い箇所でバケットを傷つけてしまうことがあります。均一に柔らかくするためには、熱をかけるのが一番良い方法です。

今回、肉薄チューブが潰れてバケットの底に固まってしまった場合の取り出し方を説明いたしました。しかし、このような事態を起こさないことが最も重要です。何度も繰り返しますが、サンプル容量は必ず守ってください。

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