Vol.49 “To be, or not to be : that is the question.”
「浮くか沈むか それが遠心のお仕事?」

皆様、遠心機のお仕事は溶液中に分散している各種物質(タンパク質や核酸など)を沈降させることは百もご承知ですよね。
しかしそれだけではありません!
ベックマン博士一口メモ Vol. 24Vol. 25Vol. 26でお話ししましたが、遠心機のお仕事は3種類あります。それらを次の3つの式でご説明します。

溶液中に分散している物質の挙動は、物質自身の密度と溶液の密度で決定されます。その挙動は両者の密度に差異が存在すれば「上がる」か「下がる」か、つまり遠心分離が必ずできることになります。

  1.  溶液中の物質は沈降
  2.  溶液中の物質は浮上
  3.  溶液中の物質は動かない

:溶液中の物質密度
:溶液の密度

しかし、第3項の は溶液と物質の密度が等しいためどんなに遠心を行っても沈降も浮上もしません。これでは遠心分離になりませんね。
しかし皆様、この状態を利用した遠心分離があることをご存知ですか?
それは、等密度遠心法またはISOPYCNIC(アイソピクニック)法です。
下図のようにISOPYCNIC法は Self-Generating Gradient溶液を利用します。代表的なものはセシウムクロライドです。下図の1.はSelf-Generating Gradient溶液と物質がミックスした状態です。その後遠心を行うと”Self-Generating Gradient”状態となり、すべての物質は自ら となるポジションまで移動します。あるものは沈降、あるものは浮上、そしてあるものは動かないのです。(下図 2参照)

Beckman Coulter, Inc. DS-468H Techniques of Preparatiove, Zonal, and Continuour Flow Ultracentrifugation 5ページより抜粋

式第1項および2項の場合は遠心により溶液中の物質が「上がる」もしくは「下がる」の挙動を示すことをご説明しましたが、この物質の挙動速度をもしも計測できたら重要な物性値を得ることができるのですが、このポイントに着目された方がノーベル化学賞受賞のSvedberg先生です。(Vol.48参照)
超遠心機の「超」は光学系でしたよね!
60,000 rpmで回転する溶液中の物質の移動速度を光学系により測定するってワクワクしませんか?
次回はこれらの基礎理論をご紹介します。ご期待ください。
予告キーワード:分子量、平衡定数、拡散係数、アスペクト比、第二ビリアル係数