Vol.45 マイクロプレート遠心の意外な盲点をご存知ですか?
-プレートの列や行によって加わっている遠心力は違っています-

マイクロプレート用の遠心ロータには、それぞれのロータの仕様として最高回転数(rpm)と最大遠心力(×g)があります。その最大遠心力の計算の基となるのが最大半径(rmax)であり、こちらもカタログやマニュアル等に記載されています。この最大半径(rmax)の定義はどのようになるのでしょうか?

次の模式図で説明します。

図1. 遠心中のプレートロータを上部および側面から見た際の模式図

図1左は遠心中のロータを上部から見た際の模式図を示しています。回転軸からプレートの底部と直角に交わるように引いた青線の距離が rmax になります。実際には、プレート内の位置によって半径は異なってきます。赤線で示したように上から見て最端のウェルが最も回転半径が長いため、遠心力がより大きくなります。しかし、図1右に示した側面から見た図からわかるように、上下のウェル間では回転軸と底辺までの距離は変わらないので、上下の遠心力の違いはありません。
つまり、図2 および 図3の青色の列や行は半径が rmax にほぼ等しくなりますが、赤色の列や行は回転半径が rmax より大きくなります。その赤色ウェルの実際の回転半径はウェル間の距離と rmax 値がわかっているので、三平方の定理を使えば簡単に求めることができます。図2のように横向きに2枚のプレートを配置するロータでは、赤色列は rmax より10%ほど回転半径(mm)が大きくなり、遠心力も10%ほど大きくなります。さらに、ディープウェルプレートのような深さがあるプレートや核酸抽出のフィルトレーションプレートのようなものは、遠心力の差が顕著に現われることがあるので注意が必要です。

横向きにプレート2枚を配置するタイプのプレートロータ
図2. 横向きにプレート2枚を配置するタイプのプレートロータ
縦向きにプレート4枚を配置するタイプのプレートロータ
図3. 縦向きにプレート4枚を配置するタイプのプレートロータ

このように、実際には同じサンプルであっても、プレートの列や行によって加わる遠心力が違っているのです。これまでの実験において、沈降の様子が違ったりして悩んだりされたことはありませんでしたか?
これが、ほとんどの方が気付かないプレート遠心の盲点なのです。今後は、このような違いがあるということを意識して、プレート遠心をするように心がけてください。