vol.32 超遠心機と高速冷却遠心機はどうしてチャンバー内を真空にするのでしょう?

遠心機はそのロータが回転することによって、空気との摩擦が生じ発熱します。
短時間の低速遠心では発熱の影響は少ないため、冷却装置のない遠心機も存在します。
ところが、高速回転や長時間の遠心には、その発熱の影響を抑えるために冷却機能が必要になります。また、もともと低温のサンプルをその温度を維持しながら遠心するときにももちろん冷却機能が必要になります。
ところが、超遠心機(少なくても40,000 rpm以上)になると空気との摩擦熱が大きくなるため冷却装置だけで温度コントロールをするのは不可能になります。そのためのチャンバー内を真空にする必要があるのです。実際の超遠心機では5ミクロン以下の真空にします。
このミクロンという単位はあまり一般的ではないようですが、なぜかベックマン超遠心機はこの単位を使っています。(個人的にはいつも説明を求められるので他の単位にしてほしいのですが・・・)
このミクロンというはμmHgという単位を省略したものです。
1気圧は760 mmHgなので、1ミクロンは1/760,000気圧ということになり、別の単位では0.133 Pa(パスカル)になるのです。

少し難解な数値の話になってしまいましたが、要は超遠心回転でも正確な温度コントロールをするためにチャンバー内を真空にする必要があるのです。
それでは、高速冷却遠心機ではどうでしょうか?
この場合は最高で20,000 rpm程度なので、真空にしなくても冷却装置だけである程度の温度コントロールはできます。
ところがロータのMax Speedで遠心して4℃を維持することは難しくなってくるのです。
そしてそれを可能にしたのが、ベックマン高速冷却遠心機の空気摩擦熱減少システム(Friction Reduction System)です。
これは、超遠心機のような高真空は必要ないので、Avantiシリーズにおいては1/4気圧または1/2気圧になっています。これによりベックマン高速冷却遠心機はほとんどのロータにおいてそのMax Speedであっても4℃を維持することができるのです。