vol.27 簡単な密度勾配作製法(密度勾配遠心のために)

前回のVol.26で密度勾配遠心法をご紹介しましたが、その中の「Rate Zonal Technique」は、主にショ糖(sucrose)の密度勾配溶液を用います。
それではこの密度勾配溶液はどのように作製するのでしょうか?
直線的な密度勾配液を作るためには専用の機器があり、弊社でもグラジェントマスターという機器をお奨めする場合もあります。しかし、必ずしもそのような機器を使って直線な密度勾配を作らなくても分離可能な方法があります。
それは次のようなステップグラジエント法と呼ばれる方法で、段階的に密度の違う溶液を積み上げいく方法です。

例えば、5~20%までの密度勾配を作製する場合

  1. 5、10、15、20%のショ糖溶液を作製しておきます。
  2. 20ゲージ程のニードルの先になるべく細いチューブを繋げて、
    遠心チューブの底に5%ショ糖溶液を注ぎます。
  3. 次に、遠心チューブの底に10%ショ糖溶液を、界面を崩さないように注ぎ、
    5%ショ糖溶液を押し上げます。
  4. 次いで15、20%のショ糖溶液を、同様にチューブの底に静かに注ぎます。
  5. このように作製した密度勾配溶液に、全体の4~5%程度の
    容量のサンプルを重層してから遠心します。

この方法によって遠心した結果は、直線的な密度勾配溶液を用いて遠心した場合と比べても、回収したいバンドは、それほど変わらない位置に形成されるのです。
さらに図1、図2のように一定時間後には拡散によって、ほぼ直線的な密度勾配になることが調べられています。

遠心チューブに5、10、15、20%のショ糖溶液を0.5 mLずつ重層して、室温で1時間静置後に拡散によって形成される密度勾配です。

遠心チューブに10、20、30、40%のショ糖溶液を0.5 mLずつ重層して、室温で2時間静置後に拡散によって形成される密度勾配です。濃度差が高い程時間はかかります。

図1、図2のデータは2.2 mLの小さなチューブでの拡散データですが、少し大きめの遠心チューブであっても一晩静置しておけば、ほぼ直線的濃度勾配が形成されるようです。

このようにほとんどの場合において、直線的なショ糖密度勾配を作らなくても、簡単なステップグラジエント法によって、密度勾配遠心が可能なのです。
もっと身近な手段として密度勾配遠心を試してみてはいかがでしょうか?
ペレッティングよりは純度の高いサンプルを回収できる手段の一つなのです。