vol.22 ゾーナルロータとはどんなロータですか?
-特殊ロータ その2-

前回は、回転しているロータの中に大量のサンプルをポンプで送り込んで、ペレットをロータの壁に形成させる連続遠心ロータについて取り上げましたが、今回は、同じ特殊ロータでもゾーナルロータと呼ばれるロータについてお話します。
超遠心機のショ糖密度勾配遠心(Rate Zonal法)とは、通常はスウィングロータを用いる次の図のような遠心法になります。

  1. 遠心チューブの中にあらかじめショ糖などで、密度勾配を作成しておきます。
  2. 全体の量の数%程度のサンプルをショ糖密度勾配溶液の上に重層します。
  3. 上記②のチューブを遠心することによってサンプル粒子の大きさや
    密度によって分離するバンドを形成します。

このようなスウィングロータで行う密度勾配遠心をスケールアップして一度にサンプルを大量処理するために使用するロータがゾーナルロータになります。
ゾーナルロータは、遠心チューブは使用せずにロータボディ全体の中に密度勾配溶液およびサンプルを入れて、遠心分離します。
ショ糖密度勾配遠心を最も大容量のスウィングロータ(6本 × 38.5 mL)で行う場合でもサンプル量の合計は10 mL程度しかありません。それに対してゾーナルロータの場合は、最大サンプル量は高速冷却遠心機用では500 mL、超遠心機用では200 mLになるのです。
このロータも密度勾配液およびサンプルはポンプでロータ回転中に送り込みますが、分離のための高速回転中は送液しないことが連続遠心ロータとの相違点になります。

ゾーナル遠心のイメージ図は以下のものになります。

ゾーナルロータの主な仕様は以下のとおりです。

高速遠心機用JCFロータ + ゾーナルコア:最高回転数20,000 rpm(39,900 ×g)、ロータ容量1,900 mL、サンプル量50~500 mL

超遠心用ゾーナルロータTi-15:最高回転数32,000 rpm(102,000 ×g)、ロータ容量1,675 mL、サンプル量50~200 mL

2回にわたって、連続遠心ロータとゾーナルロータについてお話してきました。
要約すると、どちらも通常のバッチ式ロータ(固定角ロータ、スウィングロータ)のスケールアップに用いられ、連続ロータは主にペレッティング(ただし密度勾配遠心も可能)、ゾーナルロータは密度勾配遠心に利用されるロータなのです。