vol.19 遠心沈降時間は、どのように算出しますか?
-κファクタの意味とその利用法 その2 -

前号のベックマン博士の一口メモでは、κファクタを利用して文献に掲載されているロータでの遠心条件(回転数、遠心時間)を、ラボで保有しているロータで遠心する場合には、次の計算式を利用して遠心条件を換算する方法をご紹介しました。

今回は、κファクタと沈降係数S 値を用いて沈降時間を求める方法をお話します。沈降時間t は、次のような簡単式で著すことができます。

代表的なタンパクや細胞内小器官などは、分析用超遠心機を使用してすでにS値が決定されているものが数多くあります。
例えば、リボソームのサブユニットは30Sと50S、アルブミンは4.6Sとなっています。
仮に、MLA-150ロータで150,000rpmの時のκファクタは、8.0なので、アルブミンを遠心する時は

約1.74時間で沈降することになります。

次に、材料系のナノ粒子研究分野などの場合は、沈降係数はわかっていないことがほとんどです。
その場合は、粒子の形状は真球であると仮定すると、沈降係数S値を次の計算式で求めることができます。

上記の式で求めた沈降係数S値を  の式に入れることによって、沈降時間を求めることができます。
また、この式によって少なくとも次のことわかります。

沈降速度は、粒子径の2乗に比例、溶媒と粒子の密度差に比例、遠心力(rω2)に比例、溶媒の粘度に反比例する

粘度・直径・密度などの正確な値がわからない場合でも、おおよその沈降時間を求めることができるので、
この計算をすることは、使用する遠心機の機種およびロータの選択を含めた実験計画を立てる際の参考になると思います。

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