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May 2018

新しいアプローチでの膠原病疾患治療に向けて

山路 健 先生
草生 真規雄 先生

順天堂大学 膠原病内科
先任准教授 山路 健 先生

順天堂大学 膠原病内科
助教 草生 真規雄 先生

様々な膠原病疾患における血球の研究について

私たちの研究は多岐に渡りますが、そのうちの一つ、様々な膠原病疾患における血球の研究についてお話させてください。

リンパ球や顆粒球などをはじめとした血球の関与や、その評価についてです。今、特に注目しているのは、様々な膠原病疾患にはサイトカインが深く関与していて、各細胞がサイトカインによって活性化することが、多様な免疫反応に繋がっていくという点です。さらに、その伝達経路の一つとして、マイクロベジクルやマイクロパーティクルと呼ばれる存在が影響している可能性が報告されており、このマイクロパーティクルの生理活性作用やそれに対して反応している細胞についても調べています。もう少し具体的に説明すると、例えば全身性エリテマトーデスという疾患ではB細胞、T細胞、単球、樹状細胞などが関与していると考えられていますが、前述のような生理活性物質によってその反応性が変わるものがあれば、それが大きく病態に関わっている可能性を秘めている訳です。そのような細胞を同定できれば病態の解明や治療が進むことになり、非常に興味深いと考えて研究を進めようとしています。

未知の自己免疫疾患とマイクロパーティクルの関係

マイクロパーティクルに関しては、私達の実施しているアフェレシス、つまり血液の中から直接その病態物質を取り除くという過程においても着目をしています。これまでは血中からのマイクロパーティクル除去に関して、あまり注目はされてこなかったように思います。ですが、どのような病態に関連するマイクロパーティクルが除去されているのか、そしてどのようなマイクロパーティクルを除去のターゲットにすればより治療効果が上がるのか、といった観点から、これまでになかったマイクロパーティクルに関する知見が得られるのではないかと考えています。

マイクロパーティクルを知ることが治療に繋がっていく可能性

もう少し詳しくお話をすると、自己抗体に関与する好中球がNETs(Neutrophil extracellular traps)という網みたいなものを細胞外にバッと吐き出します。その際に、細胞内容物も一緒に放出するため、そこに好中球由来のミトコンドリアDNAなどの核酸や様々なタンパク質が別に放出されます。最新の報告では、好中球の放出したNETsの中に含まれている様々な核酸を介して抗原提示細胞へDNAが伝達され、これが抗原提示細胞の自己抗体産生に繋がっているといわれています。そして、これとは別に、そのNETsを起こさせるのにマイクロパーティクルが関わっている可能性も報告されています。

現在のところ、この2つを並べて研究している例はないのですが、マイクロパーティクルを介して好中球や顆粒球が活性化されることでNETsが放出されて、結果的に自己抗体産生に繋がっている可能性があると考えられるので、ここを研究するのは非常に面白いです。つまり、マイクロパーティクルの成分や内包物、そこに含まれている情報等を正確に評価することで、もしかしたらNETsの放出がコントロールできるかもしれませんし、結果的にはそれが様々な病態を抑えるのに役に立つ可能性があると考えています。

研究の中でのDuraClone IM Granulocyte tubeの役割

患者さんの末梢血を持ってきて、そのままプロトコルに従って反応させてフローサイトメーターで測定しています。測定後は製品プロトコルに記載されているゲーティングに従って顆粒球をはじめとした細胞の同定を行っています。DuraClone IM Granulocyte tubeは9カラーのパネルですが、さらに最大2カラーを追加できるようデザインされているようなので、それを利用して今後はMDSC(Myeloid-derived suppressor cell)の同定も試みる予定です。MDSCは顆粒球などの前駆細胞になりますが、MDSCが抑制的に働くことが要因となり、病態の悪化を招いているように思えます。

その辺りを研究で明らかにしていきたいと考えていますし、それ以外には顆粒球のソーティングに使用できないかといった考えもあります。具体的には、ソーティングした顆粒球とマイクロパーティクルとを共培養し、NETsをあえて放出させる実験などです。マイクロパーティクル以外にも関連している物質を同定し、反応性を調べ、反応自体を制御する方法を見つけられたら面白いのではないかと考えています。

山路 健 先生と草生 真規雄 先生

DuraClone IM Granulocyte tubeとの出会い

きっかけは本当に偶然でした。輸血部でベックマン・コールターのフローサイトメーターを使って評価したいっていう時に、ベックマン・コールターの方から全血で簡便にできるキットがあるとご紹介いただいたのです。先にもお話しした私たちが行っているアフェレシスの際に血液製剤を用いることもあり、実は輸血部とは関係が深いのです。それもあり、輸血部で新しいフローサイトメーターを導入する時に、免疫に関係する私たち膠原病内科のスタッフに「一緒に見てご意見をいただけますでしょうか?」と声を掛けていただきました。

当時行っていた手法は、末梢血由来の単核球を血液から分離し、その分離した末梢血単核球(PBMC)に刺激を加えるっていう非常に時間がかかるものでした。ご紹介いただいた方法は極めて時間が短いというお話しでしたので、最初はちょっと半信半疑ではあったのですが、ぜひやってみようということで試してみたのですが、本当に簡単でした。ただ、ひとたび開始条件のセッティングをしてしまえば、それ以降は特にセッティングを変えることもなく、ロットが変わっても同じように測定できるので便利です。

これまでの方法は本当に時間が掛かり、PBMCを取るまでに検体数によっては3時間ぐらいかかるケースもありました。でも、DuraCloneでしたらチューブに全血をそのまま移すだけなので、それだけで驚くほど時間が短縮できます。これだけで確実に簡便といえますし、あとはやはり手技による習熟の差が極めて少ないのも素晴らしい点です。このDuraCloneを使えば、もし多量の検体があっても、例えば25検体同時でも、別にどうということはないですよ。それこそ数時間で測定まで完了してしまいます。でも、これまでのようにPBMCの調製から始めたら、25検体もあったら1日で終わらないかも知れません。その位の大きな違いがあります。

DuraCloneの魅力について

時間が短く、簡単にできる点以外に魅力を感じられるのは、あらかじめ抗体・蛍光色素の組み合わせが決まっている点です。私たちが毎回毎回、パネルを考える際、目的としている細胞の同定方法の論文を調べて、その論文に載っている方法に則って主軸を作った上で、プラスアルファでこの細胞とこの細胞を確認したいからそれについても調べて、と手探りでやっていくのです。しかも常々手探りでやっているため、報告例の少ない細胞が陽性になっている場合などに困ることがあります。本当にその細胞を検出しているのか、それとも非特異的反応などで別の何かを検出している可能性、つまり偽陽性ではないかと常々不安に感じていました。こういったポイントは論文を出したら必ず指摘されるところでもあります。その意味では、様々な論文に下支えされてリファレンスも付いている抗体パネルを組んで製品として提供してもらえるというのは、実は研究者にとって非常に楽なのです。これもDuraCloneの良いところですね。

設定の困難さがないのも魅力のひとつです。しかも、製品ラインナップは、免疫研究者が見なければならない末梢血中の変化に関係する細胞をほぼ網羅しています。あと、あえて抗体を追加できるようチャネルを空けていただいている点もすごく気が利いていて気に入っています。そこに追加することで、先ほどお話ししたMDSCのようなパネルに組み込まれていないけれど、必要があれば抗体を追加してプラスアルファで同定できる点も魅力に感じています。

臨床研究だからこそのDuraCloneの魅力

まずは採血量の少なさですね。採血量少ないことで、検体を提供してくださる患者さんからの同意を得られやすくなりますので、これは素晴らしい点だと思います。特に膠原病の患者さんは、顆粒球がもともと少ないような病態の方もいらっしゃるので、十分な数の細胞を集めようとすると採血量が増えてしまうという背景があります。私たちが外来で採っている採血は特殊採血が多いので採血量がもともと多目なのです。そこへ研究の採血として30 ccほどプラスされるため、患者さんによっては60 ccほどの採血量になります。これが、30 ccではなく2 ccもあれば十分ですよということになりましたら、患者さんへの負担も少なくなります。あと、先にもお話しした時間の短縮は臨床医として本当に魅力を感じています。その短縮した時間でもってできる仕事がほかにもある、あるいは研究が前に進むと考えると非常に大きいと思います。

研究の今後の展望

DuraClone使って採血検査ができるようになれば、すぐに結果が分かる可能性があります。例えば、ある特定の血球の動きと病態の相関データが蓄積されれば、今後いわゆる迅速採血と同じように治療方針を決めることができるかもしれません。このように治療戦略に影響を与える可能性や、治療効果の確認も素早くできるようになる可能性があります。

そうすることで、血球の研究に携わってこられなかった分野の先生方も携るようになり、様々な疾患の病態が明らかになる可能性があるかもしれないです。そういった意味では、私たちが携わっているアフェレシス(血漿交換)という治療においても、いろいろな診療科の治療をすることが多いわけですが、顆粒球を直接除去したいという治療も出てきます。そういう時に、DuraCloneを使って、どういった測定結果だったら治療効果がよく出るのかとか、そういった新たな治療の可能性が出てくるかも知れないです。今、私たちは血液を取り除くという治療を実施していますが、まだその全貌がつかみ切れているわけではないのです。DuraCloneを用いた研究がこの効果が出るメカニズムを探す一助になれば、患者さんを助けられる可能性が高くなっていくと思います。

私たちは、ある病気に関連している病因物質が明らかになれば、それを血中から直接取り除くアフェレシスという手段を活用しておりますので、このインタビューを読んで何か新たな可能性が見つかった際にはぜひご一報いただければと思います。それによって、顆粒球を除去してみれば良いのではないか、とか、マイクロパーティクルを除去してしまえば良いのではないか、そういった新しい可能性がどんどん出てくると思います。そこから共同研究に繋がることもあるかと思いますので、面白いお話がありましたら、ぜひご一緒にお仕事をさせていただきたいなと思います。

山路 健 先生と草生 真規雄 先生

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